真心ブラザーズ「制約が増えても、頭は大自由に」/アルバム『SQUEEZE and RELEASE』インタビュー 真心ブラザーズ「制約が増えても、頭は大自由に」/アルバム『SQUEEZE and RELEASE』インタビュー
いかに清潔感のある暮らしをするのかが大切
━━また、何度も繰り返して聴きたくなる構成にもなっていますよね。特に冒頭に収録された「あたまの中は大自由」は、痛快な気分になれるというか。<自由>の前に<大>がつくことによって、真心ブラザーズの音楽だからこそ体験できるダイナミズムを感じることができました。
YO-KINGさん:<大>がないとタイトルとして成立しなくて。<大>があるから笑えるし、人と違う表現になるかなっていうね。ただの<自由>だと、普通になってしまう。それだと面白くないし、趣味でやってるなら普通でいいんでしょうけど。 プロとして活動している以上、普通はダメだから。そこは無理してでもぶっ飛んだことを表現しないといけないと思いますね。
桜井さん:今回のアルバムにおけるセッションで、最初に彼が提示してくれたのがこの楽曲だったのですが、<きやがったな>と(笑)。中学2年生というか小学校4年生くらいの気持ちで、制作に取り組もうとする心意気を感じたんですよね。頭の中だけは自由なんだから、そこは邪魔させないぜ、みたいなものとか。また、それを他人に強要する感じは、小4 の頃のクラスにいたガキ大将みたいな面倒くささがあった(笑)。それは、まさに『KING OF ROCK』を制作していた頃と同じ感覚でしたね。
━━(笑)。
桜井さん:YO-KINGさんが、面白い方向へ突っ走っていくということは、楽曲で描かれる視野が狭くなっていくのではと感じたので、僕はそこでそぎ落とされた魚のうろこみたいな部分も拾ったような視界の広い楽曲を制作しました。そのことで、彼の尖った部分がより強調されて伝わるのではないかと思い、制作しましたね。
━━桜井さんが手がけられた「Mic Check」からも開放的な雰囲気が伝わりますね。途中ではラップも披露されています。
桜井さん:(苦笑)。ラップは素人なんで。本格的なラッパーの方の評価は怖いので、耳をふさいでいます。僕は、バンドマンで、シンガーソングライターでもあるから、ループしたトラックの上でマイクを握るというスタイルではなく、バンドの音がまずあって、そこに言葉をのせるという感覚で作りましたね。韻を踏むっていう手法もうっすら聞いたことがある程度でしたが、実際に口にすると気持ちよかったので、サビの部分で取り入れたりしました。
━━こちらも、桜井さんが手がけられた「おれんち」では一転し、日本のノスタルジックな景色を連想させる楽曲になっていますね。
桜井さん:現在、暮らしているのが実家なんですけど、親父が建てたものを引き継いでいるので、だいぶ年季の入ったものになったのですが、それでも修繕を重ねながら、美しい状態で過ごしたいという気持ちが強くあって。それをうまく表現できたのかなって思います。例えば、自分の靴をちゃんと磨くとか、ギターのメンテナンスはひとりでできるけれど、 家だとそういうわけにはいかない。さまざまな人間が関わり合いながら、家を大切に守っていく姿勢というか、全員で屋根を修理するわちゃわちゃな雰囲気が、バンド・サウンドとして表現されているのかなって思いました。
━━ちなみに、家でもっともこだわりのある空間はありますか?
桜井さん:とにかく玄関は綺麗にしていますね。そこから人が出入りするし、風も入るから、まずはそこをちゃんとしないと。玄関のたたきに靴を置きっぱなしにしないとかね。装飾にこだわるというものではなく、清潔感を保ち続けることが、暮らしにおいて何よりも大切なことではないかなと思いますね。
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