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【神戸グルメ】 神戸北野ホテルのランチはおいしくてサステナブル! 総支配人・総料理長 山口さんにこだわりを伺いました 【神戸グルメ】 神戸北野ホテルのランチはおいしくてサステナブル! 総支配人・総料理長 山口さんにこだわりを伺いました

【おいしくSDGs】 豊かな海を守る! 神戸北野ホテルで楽しむ“サステナブルランチ” 総料理長に聞くその背景とは?

ハードルが高く感じてしまう「SDGs」。壮大な目標だけれど、私たちにできる身近な方法のひとつが食。とっておきのレストランで食事をすることが、地球環境を守ることや誰かの笑顔につながっているかもしれません。神戸北野ホテルでは、普段は廃棄されてしまう未利用魚を創意工夫で活用したサステナブルランチを提供しています。海の豊かさを守りたい。サステナブルランチに込められた思いやスタートした背景を総支配人・総料理長の山口浩さんに伺いました。

目次
【神戸グルメ】 神戸北野ホテルのランチはおいしくてサステナブル! 総支配人・総料理長 山口さんにこだわりを伺いました
  1. お話を伺ったのは……神戸北野ホテル 総支配人・総料理長 山口浩さん
  2. 豊かな海の幸を次世代へ受け継ぐための「SDGs」メニュー
  3. 地産地消の食材選びにもこだわる「世界一の朝食」
  4. 神戸北野ホテル INFORMATION

お話を伺ったのは……神戸北野ホテル 総支配人・総料理長 山口浩さん

PROFILE
兵庫県出身。フランスの名店「ラ・コート・ドール(現 ルレ・エ・ベルナール・ロワゾー)」にて総料理長のベルナール・ロワゾー氏に師事。その後「ラ・コード・ドール神戸」の開業にあたり帰国。2000年に「神戸北野ホテル」の総支配人・総料理長に就任。世界的権威を誇るホテルとレストランの非会員組織「ルレ・エ・シャトー」2013〜2023年日本副支部長、世界料理協議会委員、明石浦及び神戸市漁業協同組合SDGs・サステイナビリティアンバサダー。海洋資源のサステナビリティ活動に携わるなど、自然と文化の持続的発展、社会貢献の課題にも取り組み、シンポジウムなどを展開。サステナブルな食材を使用したレシピ開発やレストランの総指揮、プロデュースも行うなど、食文化を通して多方面で活躍。2023年兵庫県フィールドパビリオンアンバサダー第一号として就任。

■ 豊かな海の幸を次世代へ受け継ぐための「SDGs」メニュー

総料理長の山口さんが、2018年に開催された「世界料理評議会」で海の豊かさを守るためのマニフェストを発表。その発表をきっかけに、SDGsがかかげる目標のひとつ「海の豊かさを守ろう」を実現するためのサステナブル・シーフード(持続可能な魚介類)を使った「SDGs」メニューを神戸北野ホテルのフレンチレストラン「アッシュ」にて提供を開始しました。

海洋資源の枯渇、漁師さんの減少

海洋資源が枯渇しつつある現実。手に入りにくい魚や絶滅危惧種を食す贅沢に価値をおくのではなく、サステナブルな食材を楽しむことが、海を守り、漁師さんの生活を守ることにもつながります。

「日本は和食が食文化の国なので、魚の価値は日本料理に準じています。関東の方では、まぐろや赤身の刺身の文化、関西では真鯛などの白身魚の刺身の文化と、皆さんが食べる魚はほぼ決まっています。
でも、鯛にもいろいろな種類があり、チヌ(クロダイ)は身がしっかりしていて結構おいしいんですよ。ただ、磯のところに住んでいるので、海藻を食べたり、雑食もするため、日本料理として考えたときには磯臭くて、日本料理では敬遠されがちです。なので、水揚げされた魚のなかでも値段や価値の差が出てきてしまうんです。
でも、一種類の魚を獲り続けると絶滅の危惧にもつながります。そして今、温暖化で海の生態系も崩れてきたり……。いろいろな問題をこのまま放っておくと、5年先には魚がいなくなってしまうかもしれない現実があります。
また、5年10年すると漁師さんがいなくなっている可能性もあります。水揚げに対する成果報酬や利益が少ないと、漁師さんもいなくなってしまいます」

海の資源をはじめ、日本の食材・食文化を守るためには、生産者や漁師さんたちの生活を守ることも大切だと語る、山口さん。

そこで取り組んだのが、普段は廃棄されてしまう「未利用魚」を活用することです。

未利用魚を活用して資源を無駄なく使用!

さまざまな理由で低価格もしくは値がつかない「未利用魚」

「未利用魚」とは読んで字のごとく、食材として利用されない魚のこと。サイズが揃っていない、漁獲量が少なく商品にならない、知名度が低く人気がないなど、さまざまな理由で低価格でしか評価されないのが「未利用魚」です。

「臭いの強いチヌのような食材は、和食には向いていないけれど、フランス料理ならおいしく料理できます。かけがえのない個性として、その特徴を見抜けば、その特徴を生かしたおいしい料理ができあがるんですよね。
そういう知られていない『未利用魚』を活用し、皆さんに知ってもらうことで、魚の価値を高めることができます。今まで低単価でしか値段がつかなかったものに、しっかりとした値段で買い付け、それがどんどん広がれば、漁師さんの生活も守れます。一種類だけ獲ろうとせずに、いろいろな種類の魚、獲れた魚をきちんとした値段で売れば、漁に出る回数が減り、海洋資源へのダメージも減らせるので資源確保にもなります。
未利用魚のおいしさを皆さんに知ってもらい、価値を高めて、資源を守りながら漁師さんたちも守る。そして日本の食文化を守っていく。それこそがサステナブルランチの目的ですね」

「未利用魚」を活用したSDGsメニュー例

【おいしくSDGs】 豊かな海を守る! 神戸北野ホテルで楽しむ“サステナブルランチ” 総料理長に聞くその背景とは?
昆布じめした未利用魚 初夏のお野菜の香りと食感
未利用魚を昆布じめにすることでコクを与え、魚のうまみを引き出し、季節野菜の香りと食感が楽しめる一皿に。
※8月31日(木)までのメニュー
里山と前海の共演サラダ仕立て
海の幸にも山の幸にも恵まれている神戸。未利用魚をはじめ地産地消の食材を使用し、豊かな自然の恵みを活かした一皿。

※未利用魚を活用した「SDGsメニュー」は獲れた魚や季節によってメニューが変わります

「SDGsメニュー」が楽しめるランチは¥9,500(サービス料込み)〜

ランチコースの詳細は神戸北野ホテルの公式サイト レストランページからチェック!

兵庫デスティネーションキャンペーン「兵庫テロワール旅」でも開催!
神戸北野ホテルの「SDGsメニュー」をホテルスタッフの解説とともに堪能できます。

9月4日(月)開催「神戸北野ホテルで楽しむサスティナブルランチ」の詳細は専用予約サイトをチェック!


■ 地産地消の食材選びにもこだわる「世界一の朝食」

美食を愛でる、心豊かなひとときを過ごしていただきたい。そんな思いをコンセプトに生まれたオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)、神戸北野ホテル。山口さんの師匠、ベルナール・ロワゾー氏から公式に認められた「世界一の朝食」をはじめ、極上のサービスとおもてなしの心で、至福の時間が堪能できるところも魅力です。

そんな神戸北野ホテルの代名詞とも言える「世界一の朝食」のこだわりも山口さんにお伺いしました。

おいしさの感動を伝えたい! コンチネンタルスタイルの朝食

神戸北野ホテルが2000年6月にオープンした際、山口さんの師匠であり、フランス料理界の重鎮でもあるベルナール・ロワゾー氏より公式に再現が許された「世界一の朝食」。

「フランスで修行しているときにロワゾーの朝食と出合って、ものすごく感動したんです。特にコンフィチュール(ジャム)は、今まで食べたジャムと全く違うなと、びっくりしました。生のフルーツを食べている感覚になったんです。クロワッサンにしてもヨーグルトにしても、すべてのものが今まで自分が経験したものではありませんでした。
1992年にフランスから帰国したときはレストランのシェフだったので、朝食を提供することがなかったため、いつかこの感動をお客様に伝えたいとずっと自分の中で温めていたんです。
その後、震災があり、働いていたホテルのレストランが撤退を余儀なくされ、同じような運命だった神戸北野ホテルと出合いました。神戸北野ホテルをリニューアルする際、オーベルジュなので朝食も提供できるため、フランスの文化を皆さんにここで紹介できるなと思い、朝食を提供することになりました」

オープンした23年前から比べると、「地産地消」という考え方も、皆さんにどんどん意識されるようになったと語る山口さん。

「『世界一の朝食』もオープン当初から比べると、より『兵庫県』をフィーチャーしています。遠くからものを購入し、燃料を大量消費して自然環境を壊すようなことはやっぱりよくないですよね。
1992年に帰国した際は、食材の80%はフランスから輸入していました。今は、フランス料理でもハモやタケノコを使ったり、いろいろなことをしてもフランス料理として提供しているのでお客様は認めてくださります。でも昔は許されませんでした。神戸北野ホテルの朝食も23年前と比べると、どんどん『地産地消』になっています」

進化し続ける「世界一の朝食」のこだわり

「震災の際、イチゴ農園がイチゴをすべて捨てなければならなくなり、全部買い取ったんです。生のフルーツとして食するのは難しくても、コンフィチュールにすれば、そのイチゴの命を半年〜1年延ばすことができます。今はイチゴのコンフィチュールのみですが、最初の頃の朝食ではコンフィチュールを3〜4種類ぐらい出していたんです。
お客様は楽しむためにレストランに来て、ホテルに泊まって、噂の朝食を食べる、と喜んでいただいているのですが、そういうストーリーをお客様にお話しすると、その朝食を食することによって社会のためにもなっている、社会貢献にもつながっているということに、さらに喜んでいただけているようですね。
食べる喜びだけではなく、世の中の何かに参加する、社会貢献につながっている喜びを感じることも、時代が変わることで皆さん意識が高くなっていると思います」

23年間前から変わらぬ味を守り続けているように見えて、時代や価値観の変化に合わせて変わっているという「世界一の朝食」。

「23年前に朝食を食べた方が今この朝食を食べても、多分同じだと感じられると思います。でも古くなったとは感じない。それはいつも変化しているから古くならないんです。ほんの少しのリノベーションがあることによって、いつも変わらないおいしさがあります。それは朝食に限らず料理全般、さらにはホテル自体もです。先日2か月間閉館してホテルをリノベーションしましたが、そのリノベーションに気がつかないお客様もいらっしゃいます。『いつ来ても変わりませんね』と。そういう評価をいただくためにも、いつも変わっていなければならない、変化していかなければならないと感じています」

常に進化し続けることで、23年経った今もなお「おいしい!」と評価され続け、唯一無二の「世界一の朝食」と称されています。


神戸北野ホテル INFORMATION

神戸北野ホテル
兵庫県神戸市中央区山本通3-3-20
【お問い合わせ】
078-271-3711(ホテル代表電話番号)
050-3177-4646(フレンチレストラン「アッシュ」)

神戸北野ホテル ホームページ

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web edit & text:Mina Ota
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