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ジメジメする初夏から梅雨の不調を改善。ハチミツ×薬膳で体をととのえる ジメジメする初夏から梅雨の不調を改善。ハチミツ×薬膳で体をととのえる

健康や美容に効果効能が期待される、 と今改めてハチミツが注目を集めています。 ハチミツを取り入れた薬膳で、じめじめと蒸し暑く、体のなかに熱がこもりやすい初夏から梅雨の不調を改善するメソッドを、ハチミツ料理研究家の河村千影さんに教えてもらいました。

目次
ジメジメする初夏から梅雨の不調を改善。ハチミツ×薬膳で体をととのえる
  1. 免疫・健康・美容に働きかけてくれる食薬「ハチミツ」
  2. 代表的なハチミツの種類と特徴
  3. 料理に合うハチミツいろいろ
  4. 薬膳のこと
  5. 薬膳的! 初夏に食べたい食材
  6. 教えてくれた 河村千影さん profile

免疫・健康・美容に働きかけてくれる食薬「ハチミツ」

「ハチミツには良質なビタミン類、ミネラル類をはじめ、人間が体内では作れないアミノ酸も含まれています。そのほか、酵素なども多く含まれ、栄養のバランスがいいんです。保湿や抗菌作用があり、薬膳では漢方薬のように病気を治癒する生薬と通常の食材の両方で使用できる[食薬]に分類されています」と言うのはハチミツ料理研究家の河村千影さん。

砂糖と比べてカロリーが低く、消化時に体に負担がかからずすぐにエネルギーへ変わるというメリットもあり、調味料として料理に毎日取り入れているそうで、体や肌の調子がいいと実感中とか。

「抗菌作用が高いマヌカは風邪予防や咳、口内炎予防にもなり、また、抗炎症作用があるシドル(ナツメ)は美肌にいいなどよく見聞きしますよね。そんなふうにハチミツは蜜源となる植物によって味や風味、栄養が変わることが魅力。国内外合わせると数えきれないほど種類があるので、ぜひ好みのものを見つけて、キッチンや食卓にマイハチミツを数種類常備してみてください」


代表的なハチミツの種類と特徴

【フルーツ系】
みかん、レモン、リンゴ、マンゴーなど。植物により甘さと酸味がまったく違い、最も多様性のある味わい。
【樹木系】
栗、トチ、シナ、アカシアなど。甘さのなかに樹木の力強さ、木の皮の渋味あり。
【草木系】
クローバー、レンゲ、ひまわり、タンポポなど。比較的さわやかですっきりした甘さ。
【ナッツ系】
アーモンド、コーヒーなど。油分を含んだコクのある甘さ。個性的な味のものが多い。
【ハーブ系】
ローズマリー、ラベンダー、タイム、フェンネルなどのハーブ。ほのかな苦み、香ばしさを含んだアロマティックな甘さ。

料理に合うハチミツいろいろ

◆ミネラル豊富な褐色系

蜜の色が濃い、そばやナツメ。ミネラルが豊富なので鉄分補給に。他にも栗やごま、龍眼などがある。

【そば】
ミネラルたっぷり貧血予防に! コクがあって、味噌やしょうゆと相性◎。里山のそば蜂蜜(300g)¥3,024/山田養蜂場
【ナツメ】
血行促進効果が高いナツメ。美肌効果も抜群で、フェイスパックにも。RAW SIDR(140g)¥4,860/ユーラシア・ トレーディング

◆白っぽいクリームタイプ

なめらかでそのまま食べられるクリームタイプ系。ここで紹介するメスキーテをはじめ、マヌカやエスパルセットなど。

【メスキーテ】
メキシコの砂漠で咲く花、メスキーテ。高い薬効とさわやかさが特徴。熊ノ屋メスキーテ(125g)¥2,484/アスパック企業

◆さらさらの透明色系

結晶しづらくさらさらなので、料理に使いやすい。ミカンやレモンなどの柑橘系、トチ、アカシア、リンゴなど。

【ミカン、レモンなどの柑橘】
瀬戸内海の柑橘ならではのフルーティな風味。ドレッシングやマリネに。瀬戸内レモンとみかんのハチミツ(135g)¥1,458/Honey Honey Honey.
【トチ】
トチは淡い黄金色で、鉄分、ビタミンなどミネラルが豊富。まろやかな甘さで、ドレッシングや煮物に。栃のはちみつ(100g)¥1,200/大沼養蜂

薬膳のこと

「薬膳」とは食べ物が持つ性質や味、体にもたらす働きを理解したうえで、季節や体質、体調に応じて食材、生薬を組み合わせた食事のこと。難しく考えずに、いつもの食材で簡単に作ることができます。

薬膳の基本は陰陽五行

〈相生〉「木」をすり合わせることで「火」が生じ、「火」が燃えて生まれた灰は「土」になり、「土」の中では「金」(鉱物)を生じ、「金」は溶けて「水」に戻り、「水」が「木」を育てる。〈相克〉「木」は「土」に根を張り、「土」は「水」をせき止め、「水」は「火」を消し、「火」は「金」を溶かし、「金」(刃物)は「木」を傷つける。

「薬膳の考え方は、この世に存在するすべてのものは陰陽にわけられ、さらに木・火・土・金・水という5つの性質(五行)からなるという古代中国の哲学、陰陽五行説に由来しています」

この五行は、図のように互いに影響し合っていて、となり同士の性質は相生関係であり、向かい合う性質は調整する相克関係となります。「相生関係と相克関係がうまく組み合わさることで自然界のバランスがとれるんですね」

五行の木・火・土・金・水に対応する体の機能に肝・心・脾・魄・腎の五種類があり、五臓とよばれていて、「水」に不調があるとき、それに対応する「腎」の機能が低下するというふうに連動すると考えられています。この五臓も五行と同じで相生、相克関係にあります。臓器のどこかに不調があるときにその臓器単体に目を向けるのではなく、臓腑が体のなかで連携して機能し合い、健康を保つというふうに薬膳では考えます。


薬膳的! 初夏に食べたい食材

写真左から時計回りに:緑豆春雨、はと麦、とうもろこし&さやいんげん、チンピ、クコの実。お好みのハチミツと掛け合わせて。

「人間の体は気、血、水(血液以外の体液)でできていて、この3つのバランスが崩れると、体調不良が起こると考えられています。薬膳では体の過不足に対して適切な生薬、食薬、食材を調理して食べて改善を図るんですね」

初夏は、気候でいうと陰陽の陽がだんだんと強くなり、暑さや湿度から夏の臓「心」が弱りがち。そこで、陰分を補う作用が高い、甘酸っぱいものを食べるといいとか。

「酸味と甘味を合わせると、血と水を補う陰液が生まれ、体を潤すと考えられています。これは『酸甘化陰法』とよばれています。酢の物、ハチミツレモン、梅干しご飯など、酸味と甘味を持つものは昔から食卓でも食べられてきているんですよ。ハチミツは甘味だけでなくコク、旨みを持つ万能調味料。そう難しく考えずに、砂糖やみりんがわりに取り入れてください。ハチミツは胃腸も整えてくれるので食欲不振になりがちな梅雨、夏を乗り越えましょう!」

ハチミツを使ったレシピや記事はこちら


教えてくれた 河村千影さん profile

ハチミツ料理研究家。日本はちみつマイスター協会副理事長。薬膳にも通じ、漢方スタイリスト、養生薬膳アドバイザーとしても活躍。ハチミツと薬膳を掛け合わせた未病に効果がある料理を提案。
http://www.83m.info/

※同じ蜜源植物でも、生育する風土や気象状況により色や結晶は異なります。ハチミツは、生後1歳未満の乳児には与えないよ うにしてください

photograph:Miyako Toyota styling:Yui Otani illustration:Tomoko Shinozuka cook:Chikage Kawamura edit & text:Tomoko Yanagisawa web edit:Riho Abe
リンネル2020年5月号より
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください

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