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歯科医に聞く正しい口腔ケア。女性は人生に3度歯周病リスクが高まるってホント!? 歯科医に聞く正しい口腔ケア。女性は人生に3度歯周病リスクが高まるってホント!?

子どもの頃から毎日繰り返してきた歯磨き。でも、年齢を重ねた今、同じケアでは正しい口腔ケアができていないかも。20年、30年後の健康のために、今こそオーラルケアを見直しませんか? 若林歯科医院の院長・若林健史先生にこれからの私たちに必要なケアを教えてもらいました。

目次
歯科医に聞く正しい口腔ケア。女性は人生に3度歯周病リスクが高まるってホント!?
  1. 女性の人生で3度訪れる歯周病のリスク
  2. 糖尿病から動脈硬化まで……コワ〜い歯周病のセルフチェック!
  3. 唾液が出るマッサージ
  4. 教えてくれた 歯科医・若林健史先生 profile

女性の人生で3度訪れる歯周病のリスク

意外と軽視されがちな歯周病ですが、放置すると全身疾患にもつながることをご存じでしょうか?

糖尿病や動脈硬化、アルツハイマー病、肺炎まで、さまざまな病気を引き起こすとされています。怖いことに、アルツハイマー病の患者の脳を調べたところ、歯周病菌の一種が発見されたというニュースも。数十年先の健康のため、今からできるオーラルケアを始めてみませんか?

「歯周病は、歯茎や歯を支える骨が壊される病気です。治療せずにいると、最悪の場合、歯が抜けることも。しかも、30〜40代にこそ身近な病気で、気づいたときには進行しているのが特徴。歯磨きのたびに出血したり、口臭がきつくなったり、歯茎が腫れるなど、自覚症状が出たときはすでに進行しています。

さらに、女性には人生に3度、歯周病リスクが高まる時期がくるんです。それは女性ホルモンが変化しやすい思春期、妊娠出産期、更年期。この時期に歯周病症状が悪化しやすいので、ぜひ正しいケアを身につけましょう」と若林先生。

ホルモン減少で唾液不足!
今、ドライマウスが増加中

(左)モデルのkazumiさん(右)編集ライターの仁田ときこさん

『リンネル』で活躍するモデルのkazumiさんと、編集ライターの仁田ときこさんが、若林先生にお口のお悩みを相談!

kazumi:今日はよろしくお願いします!

仁田:私、口内が乾くことが時々あって。ドライマウスが気になっています。

若林先生:ドライマウスにはいろいろ原因があります。口呼吸や緊張による心理的な原因、更年期。女性ホルモンのバランスが崩れて、潤い不足からくることもありますね。

仁田:潤い不足切実です!

kazumi:病気を引き起こすんですか?

若林先生:唾液が減ることで免疫機能が失われ、虫歯が増えたり、風邪を引きやすくなります。しっかり咀嚼して、唾液が出るマッサージも普段からぜひ取り入れてください!(下記でご紹介)

自宅での正しい歯磨きと
プロのクリーニングが大切

子どもの頃から繰り返してきた習慣は、大人になってもなかなか改善できないもの。「正しい歯の知識を、今こそプロと一緒に見直して。予防に力を入れましょう!」(若林先生)

kazumi:私、歯茎が腫れることが時々あるんですが……

若林先生:それは磨き残した歯垢(細菌の塊)のせいで、歯茎が炎症を起こしている可能性がありますね。

仁田:磨きすぎではなく?

若林先生:ええ。実はプロも自分で歯磨きすると必ず磨き残しがあるんです。それほど歯磨きは難しいので、歯科医院の定期的なクリーニングが必要。正しいブラッシングも教えてくれるのでぜひ身につけて。

仁田:確かに、子どもの頃のまま、適当な歯磨きをしています。

若林先生:ちなみに、ものを食べる前の歯磨きが一番効果的ですよ。

kazumi:食前だなんて初耳です!(驚)

簡単な唾液検査で虫歯や口臭レベルも判明

仁田:電動歯ブラシはどうですか?

若林先生:手動の約8倍の威力があるとされていますが、実は歯への当たり方が重要なんです。高齢になって初めて使うより、今のうちに慣れておくのも手段ですね。

kazumi:ちなみに虫歯になりやすい人っているんでしょうか?

若林先生:虫歯になりやすいのは遺伝ではなく、環境です。年中ダラダラ食べている人こそ危険。口腔内の状態がわかる唾液検査もあるので、自分の今の口臭や虫歯レベルを知っておくのもよいですね。唾液の分泌量から虫歯になりやすい・なりにくい、もわかりますよ。

ブクブク、ペッ!で、歯周病リスクがわかる
唾液検査液を含んでしばらくブクブクするだけで、口腔内の健康状態が判明。歯や歯茎の健康、口臭レベルなど、総合的に清潔度が検査でき、今後の治療方法もこれで決まります。(唾液検査装置 SiLL-Ha /アークレー社)

噛み合わせを正して さまざまな不調が改善!

kazumi:私、歯のくいしばりを直すためにマウスピースを作って治療したんです。そうしたら、長年苦しんでいた片頭痛が消えて。これって、噛み合わせが正しくなった影響でしょうか?

若林先生:そうですね。歯の噛み合わせが悪いと、頭痛、腰痛、肩コリなど、顎関節症の影響からさまざまな全身症状が引き起こされるんです。妙に全身がだるいという不定愁訴も噛み合わせの問題だったりするんですよ。だから、体の不調が続く人は、一度噛み合わせを診てもらうとよいですね

仁田:私、マウスピースを作ったのに慣れなくて放置していました。今夜から再開します〜

歯科医院に通うのは3か月に1回がベター!

仁田:美容院には1か月に1回必ず行くのに、歯科医院はなぜか足が遠のいてしまうんですが、どれくらいを目安に通えばいいですか?

若林先生:理想は3か月に1回を目安に、クリーニングに通うのがいいですね。歯磨きでは落とせない汚れを落とすPMTCというクリーニングがあるのですが、これを定期的に取り入れている人は、十年後の歯肉の変化も少ないんです。

仁田:歯肉が減ることは、悪影響なんですか?

若林先生:高齢になるとすきっ歯の人が多いでしょう? あれは歯肉と歯肉の下にある骨が減ってどんどん隙間ができた証拠です。

仁田:うわ〜。怖いです(涙)

若林先生:お年寄りで歯が抜ける人が多いのはそのためです。歯肉と歯肉の下にある骨が痩せ細ってしまったのが原因ですね。

kazumi:気をつけます〜!(汗)

若林先生:ちなみに、スウェーデンでは予防歯科が徹底しているので、無症状でもみんなが定期的にメンテナンスに通うんです。だから、高齢者の歯の平均本数が、日本に比べてとても多いんですよ。

仁田:定期的なメンテナンスこそ将来の健康に影響するんですね。


糖尿病から動脈硬化まで……
コワ〜い歯周病のセルフチェック!

<日常のこと>
□ 寝ているとき口呼吸をしている
□ 歯並びが悪い
□ 甘いものをよく飲み食いする
□ デンタルフロスを使わない
□ 口臭を感じる
□ 同じ歯ブラシを3か月以上使う
□ 歯の間にものが詰まりやすい
□ 冷たいものがしみる

これらの項目のチェックが多いほど、 細菌が繁殖しやすい環境に!

<主な自覚症状>
□ 歯肉が赤く腫れる
□ 歯肉がむずむずして痒い
□ 歯が浮いた感じで腫れぼったい
□ 朝起きたら口がネバネバする
□ 歯磨きすると出血する
□ 下の前歯の裏がザラザラする
□ 歯を押すとグラグラする
□ 歯肉が下がり、歯が長くなった

歯周病の自覚症状に気づいたときは、 すでに進んでいる証拠に!


虫歯や口臭予防にやっておこう!
唾液が出るマッサージ

年齢を重ねて唾液量が減ると、虫歯や口臭、さらには病気の原因にも。自浄作用のある唾液を増やすために、まずは唾液腺を刺激して唾液量を増やしましょう。普段の生活でできる簡単なマッサージを教えてもらいました。

【STEP 1】両頬頰をグルグル

耳の前あたりにある耳下腺に手を添えて、両頰をやさしくグルグル回すイメージでマッサージ。数回行うと唾液がジンワリ~。

【STEP 2】顎の下をプッシュ

顎骨の内側の左右にある顎下腺に親指を入れ、上にゆっくりプッシュ。しばらくすると、サラサラした唾液が口内に広がります。

【STEP 3】舌の下部分をグリグリ

下顎のくぼみ付近(舌の付け根あたり)に親指を入れ、上向きにグイッと押し上げるイメージでプッシュ。簡単に唾液が増加します。

今、中年のおじさんより若い女性の口がクサいんです!
「昔より甘いものをよく食べるようになったのが原因です。ダラダラと砂糖の多いお菓子や飲み物を摂取しているので口内の免疫力が低下し、口臭を引き起こしています。30~40 代の女性はメリハリある食生活を心がけてくださいね」(若林先生)

教えてくれた
歯科医・若林健史先生 profile

恵比寿で約30年以上続く人気歯科医院「若林歯科医院」の院長。日本歯周病学会認定の歯周病専門医。痛みを抑えた歯科治療を実践。新聞社の専門情報サイトや書籍の執筆も多い。

photograph:Mari Yoshioka model:kazumi edit&text:Tokiko Nitta web edit:Riho Abe
リンネル2019年12月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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