疲れていると毎日湯船につかるのは面倒……となっていませんか? お風呂の入り方を工夫し、正しいお風呂習慣を続けるだけで、心も体ももっと健康になれます。温泉療法専門医の早坂信哉先生が、入浴が心身にもたらす効果と、お風呂のパワーが存分に得られる基本の入浴方法を教えてくれました。
教えてくれたのは……温泉療法専門医 早坂信哉先生
お風呂が医学的に体によい4つの理由
裸で体温より高いお湯につかることで、体にいろいろな効果が得られます。これらの中には、シャワーでは得られないこともあり、日本人の長寿や健康の要因のひとつといわれているそうです。
【理由 1】
温熱作用で血の巡りがよくなる
温かいお湯につかると、体の表面近くの血液がまず温まり、その血液が全身を巡って体全体も温まります。そして、血管が広がって血の巡りがよくなるのです。血の巡りがよくなると、新陳代謝が活発になったり、筋肉や関節もやわらかくなります。
【理由 2】
静水圧がむくみを解消!
お湯に入ると1mの深さで1㎠あたり100gの水圧が体にかかります。肩までお湯につかってお腹まわりを測ると普段より数㎝細くなっているのだとか。それにより、脚にたまった血液や体液が心臓に押し戻され、むくみが解消されます。
【理由 3】
浮力で体も心もリラックスできる!
お湯に入っている時は、浮力によって体重50kgの人であれば、5kgちょっとになる計算です。普段体重を支えている筋肉や関節は、その役割から解放されます。体の負担を軽減することにより、心もリラックスします。
【理由 4】
清浄作用で毛穴が開いて汚れが落ちる
お湯には、それだけで体をきれいにする作用があります。タオルでゴシゴシと肌をこすったり、洗浄力の高い石けんやボディソープを使わなくても、お湯に入るだけで毛穴が開き、皮膚の汚れは十分に落ちます。肌が弱い人は、無理に全身を洗わなくても大丈夫。
お風呂に入るだけで健康になって幸福感が上がる!?
効果的な入浴のポイントは温度!
入浴は、温熱効果や水圧効果など、体にさまざまなメリットがあり、健康によいのは、ご存じの通り。
それだけではなく、最近では、「毎日お風呂に入る人のほうが、幸福感が高い」という調査結果もあるのだとか。
「先ほど紹介した4つの作用のほかに、心にもたらすリラックス効果や疲労感の回復効果も大きいことがわかります。シャワーで得られるのは清浄作用だけで、ほかの効果はほとんどないので、やはりお風呂がおすすめです」(早坂先生)
ただ、体にいいからといって、やたらと長湯したり、汗をたくさんかくまで我慢したりする必要はなし。
「体を温めるには、のべ10分程度、お湯の温度は40℃前後で十分です。汗をダラダラかくのではなく、額が汗ばんできたかな?というくらいで大丈夫。つかりすぎは、皮膚の乾燥の原因になります」(早坂先生)
また、体を温めるには、肩までつかる全身浴が一番。半身浴は体への負担が少ないので、心臓や血圧に疾患のある人におすすめです。
改めて知りたい基本のお風呂の入り方
これぞ! 正しい入浴方法 基本のキ! 6箇条
当たり前に入っているお風呂の入り方に気をつけるだけで効果がよりアップするそう。基本の入り方を知って、ヘルシー&ビューティなバスタイムに!
【その一】
入浴前の水分補給は必須と心得よ
お風呂に入ると汗をかき、約800mLほどの水分が体から失われます。入浴前には水やお茶をコップ1〜2杯程度飲みましょう。イオン飲料などをとるのもおすすめ。ただしアルコール類(特にビール)は、利尿作用があり脱水症状になるので厳禁です。
【その二】
かけ湯(シャワー)なしに湯船に入るなかれ
まず、手おけで10杯、またはシャワーで10秒くらい体にお湯をかけます。このとき、手足からかけはじめて、体の中心へと進みます。汚れを落とすだけではなく、体にお湯をかけることで、体温よりも熱いお湯に入るための準備ができて、血圧の急な上昇を防ぐ効果があります。
【その三】
湯に入るときは、みぞおちまで→肩まで
湯船には、足先からゆっくりつかります。肩までザブンと入ってしまうと、血圧が急に上がるので、体が慣れるまではみぞおちくらいまで入って、体をならします。2〜3分ほどつかってから、肩までしっかりつかって温まりましょう。
【その四】
汗が出てきたら一旦洗い場へ 髪や体を洗うべし
額に汗がにじんだら、体が温まった証拠。温まったあと髪や体を洗うことで毛穴が開き、汚れが落ちやすくなります。湯には清浄作用があるので、石けんを使う場合はゴシゴシこすらず、泡立てたらやさしく肌をなでてあげるだけできれいになります。
【その五】
もう一度湯船につかるべし
最後にもう一度お湯につかってくつろいで、額が汗ばんでから上がります。無理に汗がダラダラになるまでつかり続ける必要はありません。
【その六】
水分を摂って休息すべし
湯冷めしないように十分水滴をふきとってからコップ1〜2杯ほど水分を摂ります。30分くらいは、スキンケアや髪を乾かすくらいにして、ゆっくり過ごしましょう。
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photograph:Hiroshi Nakamura styling:Saori Ikeda text:Ema Tanaka illustration:Kayo Yamaguchi cooperation:UTUWA web edit:Mina Ota
リンネル2018年7月号より
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