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東京スカパラダイスオーケストラ・NARGOさん、谷中 敦さん/「可能性のボーダーを超え、美しく燃え続ける」デビュー35周年記念ベストアルバムインタビュー 東京スカパラダイスオーケストラ・NARGOさん、谷中 敦さん/「可能性のボーダーを超え、美しく燃え続ける」デビュー35周年記念ベストアルバムインタビュー

国境や年代、音楽ジャンルを超えた活動で、デビューから35年もの間、多くの人に笑顔や興奮を届けているスカパラのみなさん。
昨年は自身初のスタジアム単独公演を大成功させるなど、キャリアを積んでもなお進化のスピードを止めないみなさんが、3枚組の豪華ベスト盤をリリースしました。常に境界線を超えた音楽を追求し続けるスカパラさんの軌跡、そして今後も<美しく燃え続ける>スピリットを感じられる仕上がりに。
そのアルバムについて、また最近の暮らしぶりについてをメンバーのNARGOさんと谷中 敦さんにおうかがいしました。

目次
  1. 「その瞬間にできる最大限を集約させたベスト盤」(NARGOさん)
  2. 「必死に試行錯誤を重ね到達した、スカパラらしいボーカル曲」(谷中さん)
  3. フィンランドの気功師が教えてくれたこと
  4. 『NO BORDER HITS 2025→2001 ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~』
  5. PROFILE

「その瞬間にできる最大限を集約させたベスト盤」(NARGOさん)

━━デビューから35周年を迎えられました。改めて活動を振り返っていかがですか?

NARGOさん(以下敬称略): スカという、日本にはあまりやっている人がいなかった音楽を、長い時間をかけてみなさんに楽しんでいただけるものになったのは、とてもうれしいことですね。また、自分たちしかできないようなサウンドを試行錯誤しながら作ってこれて、ようやくいろんな人に聴いていただけるようになったのかなとも思います。

━━デビュー当時から、長いキャリアを見すえて活動をされていたのでしょうか?

谷中 敦さん(以下谷中):  漠然とずっと活動を続けていきたいなっていう気持ちはあったんですけど、ここまで盛り上がっていくとは、想像できなかったですね。行きたいなと思っていた海外にライブでたくさん行けるようになったりとか。昨年は、甲子園にて初のスタジアム・ワンマン・ライブをおこない、4万人もの観客のみなさんを目の前にしたとき、35年もの間スカパラのこと好きで言ってくださる方も結構たくさんいらっしゃるんじゃないかなっていうことが実感できたことが、自分たちにとって何よりのご褒美になりました。

━━そして、35周年の集大成として3枚組のベスト・アルバムが完成しました。

NARGO: 今回は、ドラムの茂木(欣一さん)が選曲をしてくれたのですが、最新の楽曲からスタートして、徐々に時代をさかのぼっていくという構成になっていて、それはすごくいいなって思いました。僕らは、常にその瞬間にできる最大限のことを必死に追求して楽曲を完成させているのですが、それを改めて時系列でたどって聴いていると、それぞれ別の雰囲気を持ったものでありながらも、どこか1本筋が通っている感じがしますね。
ギターの加藤(隆志さん)が、終盤の田島貴男さん(Original Love)、チバユウスケさん、奥田民生さんと共演した(<歌モノ3部作>は、泣けたって言ってましたけど、改めて聴いているとグッと胸にこみあげてくるものがありますよね。聴いた瞬間に、制作当時の思いが蘇ってくる。また、いまそれを再現しようと思っても表現できない音もたくさんあって、そういうのを発見できることが感動しましたし、リスナーのみなさんにも同じ思いを共有していただけたらなって思います。

━━しかも、今回のベスト盤のために、全曲がリマスターされて収録されています。

谷中: いまでは、ストリーミングで過去の楽曲を楽しむことができますが、今回リマスターしたことで、新たな魅力を発見してもらえるのかなって期待してます。

━━今回のベストは、ゲスト・ボーカルを招いて制作された楽曲が中心。そもそも、このスタイルで楽曲を発表することになったきっかけは?

谷中: 実は1995年に『GRAND PRIX』という豪華なコラボレーション・アルバムを発表したのですが、時期が早すぎたんですよ。フィーチャリングやコラボレーションって言葉が世の中に浸透しておらず、<スカパラさん、何しているの!?>みたいな反応が多くて。現在でも、自分たちにとっては素晴らしい作品だという自信があるのですが、違うのかなって判断し、一度封印したのです。
その後、メンバーの変更などもありながら、インストゥルメンタルのバンドとして世界各地でパフォーマンスをしてきたことで、しっかりとバンドとしての地盤が固まってきたという自信がついた2001年に、スタッフさんから再びコラボレーションを提案されたのです。当初は、前回のこともあるし、ボーカル曲を発表すると、ファンの方々が戸惑ってしまうのでは?と、メンバーを含めて何度もミーティングを重ねました。一度封印したものを解き放つって勇気がいることで、本当に毎晩のように話し合って、大きな決断が必要でした。
だから、当初はフィーチャリング表記をせずに田島さんを招いて「めくれたオレンジ」を発表したのです。楽曲を耳にした人はすぐに誰が歌っているのかに気づいて、かつとてもいい反応をしてくださった。その後にリリースした、チバさん、奥田さんも当初はボーカル表記をせずにリリースしましたね。まぁ、耳にすればどれも誰が歌っているのか、すぐにわかるものでしたが(笑)。当時、僕らの挑戦を快諾し協力してくださった3人には、本当に感謝の気持ちしかありませんね。

NARGO : また、2000年にリリースしたアルバム『FULL-TENSION BEATERS』で、インスト・バンドとして研ぎすまされたというか。気迫のある演奏をすることができて、行き着くところに到着できた気分になれた。そこにボーカルの方が加わることで、どういう変化が起こるかということにも興味がわいたのです。だから、ボーカル曲に本格的に取り組む前に発表した楽曲もあわせて耳にしていただけると、よりベスト盤を楽しんでいただけるのかなって思います。

谷中: あの<歌モノ3部作>は、スカパラの再デビューと言えるくらい、バンドにとって大きな転機になったことは確か。あの作品をリリースしたあとに発表したアルバム『Stompin' On DOWN BEAT ALLEY』(02年発表)で、初めてヒットチャート1位を獲得することができたし。

NARGO : それがうれしくて、僕はバンドのロゴにも描かれている富士山に行って、頂上でフラッグを振りましたから(笑)。
 
谷中: 富士山に行ったのは聞いていたけど、まさかそんなことをしていたとは(笑)。



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