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:【お金の基本学び直し➁】知らないと損をする⁉ 年末調整の正しい申告方法:マネー講座
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会社員にとって、毎年11月から12月にかけての恒例となっているのが「年末調整」。そもそも何のために提出が必要なのか、損をしないための申告方法などについて、元国税局職員のマネーライターに教えてもらいました。
教えてくれたのは……

2004年から13年間、東京国税局の国税専門官として、都内税務署や国税局などに勤務。2017年に退職し、マネージャンルを中心としたフリーライターとして活動。著書に『確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?:元国税専門官が教える!』(河出書房新社)などがある。
年末調整は何のためにやるの?

会社員の場合、会社側が社員に代わって毎月の給与から所得税を天引きして、国に納めてくれています。この仕組みが「源泉徴収」です。ただし、毎月引かれているのは概算の金額で、扶養家族の増減や保険料控除などは反映されていません。
そこで、1年間の実際の給与や控除額をもとに正しい税額を計算する手続きのため、12月に提出するのが「年末調整」です。年末調整の申告によって再計算され、税金を払いすぎていた場合は還付(給与に反映)、足りなかった場合は追加徴収が行われます。
2026年の年末調整で何が変わる?
2026年の税制改正により、所得税の計算に関わる控除が前年度から変更されます。
所得税控除の変更でチェックすべきは、➀基礎控除の引き上げ、➁給与所得控除の最低保証額の引き上げ、➂配偶者・扶養親族の所得要件の拡大、➃生命保険控除の引き上げの4つです。

今まで扶養控除対象外だと思っていた人も、2026年分の収入によっては控除の対象になる可能性が!
変更点 1
基礎控除の引き上げ
基礎控除は、所得税を計算する際に働き方や収入にかかわらず誰でも自動的に差し引かれる控除。控除の金額が大きいほど税金がかかる所得が少なくなります。2026年分は、この金額が所得の水準によって変わります。会社員の場合は年末調整で自動的に処理されるため、自分で手続きする必要はありません。
なお、この上乗せ分は2026年分・2027年分の時限措置です。2350万円を超える高所得層は、これまでどおり基礎控除が段階的に縮小・消失する仕組みが続きます。
基礎控除額はこう変わる!
2025年 58万円(特例で最大95万円)
↓
2026年 104万円
2025年 58万円(特例で63万円)
↓
2026年 67万円
2025年 58万円
↓
2026年 62万円
変更点 2
給与所得控除の最低保証額の引き上げ
会社員は、自営業者のように仕事の必要経費を自由に計上することはできません。税金を計算する際、給与収入から必要経費のかわりに差し引くのが「給与所得控除」です。
この最低保証額が2025年分の65万円から2026年分は74万円に引き上げられます。
※1 住民税がかかり始める目安は、給与収入119万円です
変更点 3
配偶者・扶養親族の所得要件の拡大
会社員(合計所得金額が1000万円以下)が生計を一にする配偶者は、会社員とその配偶者の合計所得金額に応じて「配偶者控除」「配偶者特別控除」が適用されます。
配偶者控除の対象となる配偶者の合計所得金額の要件は、58万円以下から62万円以下(給与収入のみの場合は136万円以下)に引き上げられました。また、配偶者特別控除額が満額受けられる配偶者の合計所得の上限は95万円以下(給与収入のみの場合は169万円以下)、控除がなくなる上限は引き続き133万円以下(給与収入のみの場合は207万円以下)です。
特定親族(※2)については、合計所得金額62万円超~123万円以下(※3)の場合、「特定親族特別控除」の対象となります。「特定親族特別控除」の要件は、対象者の合計所得58万円超から2026年は62万円超に引き上げられます。
※2 19歳以上23歳未満で一定所得のある生計同一の親族
※3 給与所得のみの場合は、給与収入136万円超~197万円以下
パートやアルバイト収入がある配偶者や子どもの所得金額は、新しい要件に合わせて申告する必要があります。控除額の見直しにあわせて、「給与所得者の扶養控除等申告書」の様式も変わるので要注意です。
変更点 4
生命保険料控除の引き上げ(扶養親族の条件あり)
23歳未満の扶養親族(※4)がいる場合、「一般の生命保険料(新契約)」の控除の上限が、4万円から6万円に引き上げられます。
この上限額の引き上げは、2026年分、2027年分の2年間のみに適用される特例です。
※4 所得者本人と生計を一にする23歳未満の親族。その親族の2026年中の所得金額が62万円以下であること
生命保険料控除には、「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つの区分があり、それぞれ所得税の上限は4万円です。そのうち、「一般の生命保険料」だけ最大6万円になりますが、介護医療保険料・個人年金保険料と合わせた生命保険料控除全体の上限は12万円のままなので、注意しましょう。
年末調整で申告漏れしがちな項目とは?
年末調整で計算された所得税額が、源泉徴収された所得税の合計額より少ないと、払い過ぎた税金は還付金として12月の給与と一緒に振り込まれるケースが一般的です。
税金をしっかり取り戻すためには、年末調整の書面の「記入漏れ」をなくし、使える控除を無駄なく活用することが大事!
CHECK
1
配偶者控除・特定親族特別控除
パートやアルバイトをしている配偶者や扶養親族の所得金額によって、配偶者控除・特定親族特別控除の対象となるかどうかの分かれ目に。配偶者、扶養親族の給与明細などを確認して、正しく申告するようにしましょう。
妻や子どものアルバイト収入の金額を詳しく知らない人も案外多いはず。配偶者・扶養親族の所得要件の金額を確認せず、何となく控除対象外だと思って申告しないと取り戻せる税金が減ってしまいます。年末調整が始まるまでに、該当する配偶者、扶養親族の収入を確認するようにして。
また、扶養親族が増えたり、減ったりしたらすぐに会社に伝えること。給与に反映される扶養手当だけでなく、年末調整にも影響してきます。
CHECK
2
iDeCoの掛け金
2022年10月から「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の加入条件が緩和され、加入が難しかった会社員の方でも一定の条件を満たすことで、原則加入できるケースが増えました。
「iDeCo」で積み立てた分の掛金は全額所得控除の対象になり、年末調整を行うことで掛金が課税対象額から差し引かれるため、節税につながります。
「企業型DC(企業型確定拠出年金)」と並行して、「iDeCo」を活用している人もいるでしょう。「企業型DC」の場合は、年末調整の手続きが必要ないので、「iDeCo」も手続き不要と思い込んでいることもあるので注意して。もし、年末調整で手続きし忘れたとしても、確定申告を行うことで控除が受けられます。
年末調整で申告できないものは?
会社員の場合、原則として年末調整を受けていれば確定申告は不要です。
ただし、一定の要件に該当する場合や年末調整の対象外である控除を受けたい場合には、自分で確定申告を行う必要があります。
以下に当てはまる人は、確定申告に必要な書類などを準備して、申告忘れがないようにしましょう。
【年末調整、確定申告の両方を
行わないと損をするケース】

家族全員分の医療費が年10万円超の場合は、確定申告をすることで節税に!
医療費控除を受ける人
(またはセルフメディケーション税制)
その年の1月~12月までに支払った医療費(所得者本人と生計を一にする配偶者、親族の医療費の合計)が10万円超、または所得の5%(※5)を超える場合は「医療費控除」の対象に。
また、ドラッグストアなどで購入した市販のセルフメディケーション税制対象医薬品の購入金額の合計が1万2千円を超えた場合は「セルフメディケーション税制」として、確定申告をすることで控除が受けられます。
ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制を並行して申告することはできません。
※5 所得200万円(年収約300万円)以下の人は医療費が所得金額の5%を超えた場合に医療費控除を利用できます
「住宅ローン控除」を初めて受ける人
住宅ローンを組んで住宅を取得し、一定の条件を満たした場合に、所得税などから直接差し引かれるのが「住宅ローン控除」です。
住宅ローン控除を受けるには、住宅に入居した年(1年目)の翌年に確定申告をする必要があります。住宅ローン控除の初年度の申告は年末調整の対象外となるため、会社員など年末調整のある給与所得者でも個人で確定申告をしなければなりません。
2年目以降は、年末調整で住宅ローン控除の申告ができます。
ふるさと納税の納税先が6カ所以上の人
ふるさと納税の納付先自治体が6カ所以上の場合は、ワンストップ特例制度(※6)を利用できないため、「寄附金控除」として確定申告が必要です。
また、日本赤十字社や認定NPO法人などに寄附金を支払った場合も、「寄附金控除」の対象になります。
※6 ワンストップ特例制度は、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる制度。会社員で確定申告を行わない人、1年間のふるさと納税で納税した自治体が5カ所以下の人が利用可能
震災・水害などの災害、盗難の被害を受けた人
災害・盗難・横領などで「生活に通常必要な資産」に損害を受けた場合、確定申告を行うことで「雑損控除」が受けられます。
雑損控除欄へ損害金額・保険金・災害関連支出を記載し、罹災証明書や領収書などの証明書類を添付して提出します。
【年末調整後、確定申告を
行わないと違法になるケース】
副業の所得が20万円を超える人
本業として1カ所から給与を受け取り、在宅ワークや内職などの副業で得た所得(経費などが引かれた金額)が20万円を超える人は、「雑所得」として所得税の確定申告が必要です。
雑所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税の申告は別途必要となります。
2カ所以上から給与の支払いを受けている人
年末調整は、1人につき1カ所でしか受けられません。本業は会社員、副業でアルバイトをしているなど、2カ所の会社に雇用されている場合、年末調整を受けられるのはどちらか一方のみ。
一般的には、収入の多いほうで年末調整が行われ、年末調整を受けていないほうは給与収入が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
ただし、給与収入金額から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除以外の所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下であれば確定申告は不要です。
土地や建物の売却益がある人
土地や建物を売却し、売却価格から取得費(購入時の価格や諸費用)、譲渡費用(仲介手数料や印紙代など)を差し引いた利益を「譲渡所得」といいます。この譲渡所得がプラスになった場合は、原則として売却した翌年に確定申告をする必要があります。
また、マイホームを売却し、譲渡所得が発生した場合、譲渡所得から最高3000万円まで控除できる特例を適用する際も確定申告が必要です。
株取引の譲渡益が20万円を超える人
源泉徴収なしの特定口座または一般口座にある株式の譲渡益が20万円を超えた場合、「株式等の譲渡所得等」として確定申告を行う必要があります。
源泉徴収ありの特定口座であれば、譲渡益が20万円を超えても確定申告は原則不要です。
こちらもチェック!
※この記事で紹介している情報は、2026年10月26日現在のものです
illustration:Shoko Sakamoto text & web edit:Hayami Mitomo
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基礎控除と給与所得控除の引き上げによって、所得税を払わずに済む給与収入のラインは、2025年は160万円でした。さらに2026年分からは178万円に引き上げられます。これが「年収の壁」と呼ばれる基準の一つです。給与収入だけの人が対象で、これまで「160万円の壁」を意識して働いていた人も、給与収入178万円までなら所得税の課税対象外(※1)となります。