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:家事・育児に性別は関係ない フィンランド家庭の当たり前【現地在住の島塚絵里さんに聞く】
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フィンランドで結婚し、子育てをしながらデザイナー、イラストレーターとして活躍する島塚絵里さん。コロナ禍を経て、日常の尊さに気づいたそう。今年で15年経つという、フィンランドでの日々を綴った著書『フィンランドで気づいた小さな幸せ365日』(パイ インターナショナル)の一部を3回にわたってご紹介。さらに島塚さんにお話を伺い、フィンランドの女性の生き方について探ります。
家事・育児に性別は関係ない フィンランド家庭の当たり前【現地在住の島塚絵里さんに聞く】
共働きが多いフィンランドでは、家事分担は得意な方が担当
フィンランドの家庭は、ほとんどが共稼ぎです。主婦・主夫がほとんどいない国なので、家事は夫婦で手分けして担当します。
例えば、我が家はご飯を作るのが早いという理由から、私が夕食を作っていて、夫が皿洗い。洗濯は気づいた方がやって、娘の歯磨きは夫、日本語の本を読んでいるので、夜の寝かしつけは私といった具合。
友達の家族は、お父さんが料理好きなので、料理はほぼお父さん、お母さんは洗濯担当。性別はもはや関係なく、得意な方がするという仕組みなので、家庭によって分担が異なります。

島塚さんの夫と娘。
子育てや家事は、男女とも
一人の人間としてなすべきことという意識
もう古くなった言葉かもしれませんが、「イクメン」という言葉はフィンランドにはありません。というのも、子育ては男女ともに参加する人生の一大プロジェクトだからです。イクメンという言葉の裏には、男性は子育てに参加しないという前提があり、子育てする男性を賞賛する言葉として、「イクメン」が生まれたのだと思います。中にはお父さん二人、もしくはお母さんが二人の家庭もあり、家庭の多様化が進んでいます。
フィンランドでは、感覚的に男性が家事や育児を「手伝う」ものではなくて、仕事同様、一人の人間としてなすべきことといった感じです。でも、それは男女ともに労働時間が8時間程度の場合に、実現可能なのかもしれません。
\島塚さんに聞きました/
生きやすさを感じるフィンランドらしいこと
1. 手抜きと言わない、合理的な家庭料理

オーブンで焼いたマカロニラーティッコ
フィンランド人は合理的だと話す島塚さん。それは料理のメニューにも表れているのだとか。
「フィンランドに、茹でたマカロニと炒めたひき肉に牛乳とチーズを混ぜて、オーブンで焼いたマカロニラーティッコという家庭料理があります。それが簡単に作れて、1回作ると2、3日食べられるんです。夫はオーブン料理が得意なので作ってくれるのですが、毎日作っている私の料理ではなく、娘が一番好きな食べものはこれ(笑)。日本だと簡単にできるものは手抜き料理と言われたりするようですが、そういう言葉はないから後ろめたさも感じないですね。こういうオーブン料理は効率的で豪華に見えるし、何日も食べられて栄養もある。すごくいいなと思いますね」
2.人をカテゴライズする言葉自体がない
フィンランドでは、人をカテゴライズするような言葉がないところも気に入っているのだそう。
「もしかしたらあまり他人に興味がないのかもしれませんね。周りの目を気にしないので、それぞれが自分がよいと思ったことをする。世間体とかもない。無理しなくていいし、そのままの自分でいいんです。
日本にはアラサー、バツイチ、シングルマザーなど、カテゴライズするキャッチーな言葉がたくさんありますが、カテゴライズされると苦しくなるときがありますよね。本当はそんなに簡単に分けられないと思うんです。日本では集団でいることが第一で、そこからはみ出ているかどうかをみんな見ていると感じます。カテゴライズがないと生きやすくなるので、自分だけはやらないでみるというのもいいかもしれないですね」
『フィンランドで気づいた小さな幸せ365日』
お話を伺ったのは……島塚 絵里さん
フィンランド在住のテキスタイルデザイナー・イラストレーター。1児の母。津田塾大学を卒業後、沖縄で英語教員として働く。2007年フィンランドに移住し、アアルト大学でテキスタイルデザインを学び、マリメッコ社でテクニカルデザイナーとして勤務。2014年より独立し、国内外の企業にデザインを提供。森のテキスタイルシリーズなどのオリジナルプロダクトもプロデュース。
text & edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※本記事は『フィンランドで気づいた小さな幸せ365日』(パイ インターナショナル刊)からの抜粋にインタビューを加筆しています
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