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:【猫から教わる大切なもの】 『マムアンとララちゃん』大好評発売中! タムくんとおみゆさんが書籍&猫への愛について語り合います
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リンネルで連載していた『マムアンとララちゃん』の書籍が大好評発売中! 今回は、発売を記念しタイで4匹の猫たちと暮らす漫画家のタムくんと、愛猫“しらす”と暮らすモデルのおみゆさんが書籍と猫への愛についてたっぷり語ります。大切な気持ちを教えてくれる一冊をぜひ手に取ってみてくださいね。
トークを届けてくるのはこの二人
マムアンと猫のララちゃんのイラストの変化にも注目

いつもはペンで描いているけど、今回はブラシで描いた油絵なんだよね。

後ろ姿がいいね。マムアンちゃんって、足が長いんだね。

自分が太っているときに描くと、マムアンちゃんも太くなるの(笑)。8年の間にマムアンちゃんも絵が変わっていて、人間の手だったのが、どんどん猫の手みたいになってきて。最近はペインティングも始めて、もっとディープな自分が出たシュールな作品になっているから、自分のかわいいところが出ている『マムアンとララちゃん』みたいな作品は、もう描けないかもしれない。だから単行本にまとめられてよかったです。

80回分通して読むと、やっぱり猫好きにはたまらない一冊だなと思います。いろんなララちゃんが出てくるけど、自分が一緒に暮らしている猫と重ねたり、家で読んでいる途中も、しらすがどうしているのかが気になったり。猫の行動をいつも気にして見ているつもりだけど、もっと気にしてあげたくなる。そんなお話がたくさんでした。

しらすは初めての猫?

そう、いま9歳。

年は数えたくないよね。

数えたくない。タムくんのお話ですごくいいなと思うのは、猫が人間よりも早く年を重ねていってしまうことや、あまり考えたくないリアルなことも、やわらかく素敵な表現にしているところ。だからこそ「今を大事にしていこうね」と励ましてくれる。ちゃんと本当のことを教えてくれるけど、後味は辛くさせないものばかりで、すごくやさしいなと思います。

もっと猫の心をわかりたいと思って作品を描いてた。実はララちゃんの形も変わっていってる。猫って首がなくて、頭から背中がくっついているから、頭を丸く描くと変なんだよね。だから最後のほうは、なるべく首をなくして女性のようなカーブに。勉強しながら描いてたね。

自分勝手でもいい猫から学ぶ処世術

連載10かいめ 【言い方】
ララちゃんを見ていると、しらすもこういうことすると思うところがたくさん。しらすが外を見ているから、なんでかなと思ったら雨が降っていたり、人より物音に敏感だから、ハッと動いたりすると何かあったかなと考える時間をもらったり。いつも猫に助けられるなって。

興味のないことは、無理して興味を持たないし、全然気をつかわない。でも人間として生きるのもそのほうがいいなって、最近思ってきたんだよね。

気をつかいすぎて疲れることって誰でもあると思うけど、つかわなくていいのに気をつかうこともある。私も猫みたいになれたらってすごく考えるな。

気をつかうと自分も辛いけど、意外とまわりの人も辛いんだよね。何がしたいと言ってくれたほうが、すっきりする。僕も猫の姿勢を真似してるよ。


連載38かいめ【足りない】
本を読んで改めてそうだよねって思ったこともあって。何かをしているとき、ついしらすを見ないで適当に遊んだりしてしまうけど、38回目の話を読んで、ごめんねって思った。

ちゃんと目を合わせて気持ちを込めて遊んであげないといけないよね。ときどきそれでも足りなくて、愛が必要。いつものやり方だと飽きるんだよね。

そういう猫と暮らしている人は共感できることや、気づける大事なことがたくさん詰まっているけど、猫だけじゃないのかもと思って。生活や仕事など、時間を共にする人とのコミュニケーションの仕方、接し方のヒントになるんじゃないかなと思うこともたくさんでした。

僕は猫の勝手なところがやっぱりいいなと思っていて。別に気をつかわなくていいじゃん、みたいなところがすごくいい。

わかる。勝手で自由なところ。でもちゃんと自分の意思がはっきりしているようにも思える。こうしたい、これ食べたい、今は嫌だ、全部嫌だって。そんな風に好き勝手言えることがうらやましいのかも。

猫って自由が好きそうなのに、一応人間のいうことを聞いてくれて、すごく偉いよね。

絶対にやったらいけないことはやらないし。

それがすごいよね。人間と一緒にいたいなら、ペットとしていうこと聞かないといけない。猫も修業してるみたいだね。

マンガに込めたのは弱い自分へのメッセージ

連載54かいめ 【金魚】
あとタムくんらしい、かわいいお話だなと思ったのは、猫ではないけれど、54回目の金魚の話。「かわいがる」という言葉って、守りたいと思う存在に対して使うイメージがあったけど、「暗い空をかわいがる」という表現が前向きになれるいい言葉だなって思いました。

実は僕、かわいがられたいんだよね(笑)。でも大人になってかわいいって言われないから、言ってあげようと思って。


62回目の話にも、ハッとした。自分がいる場所の外のことを考えてしまいがちだけど、いまの状況のいいところをたくさん見つけて、ちゃんと目を向けたいと思った。タムくんと話したり、タムくんの作品に触れているときはいつも、「ちょっと落ち着いて」って言われているような気持ちになるんです。もっとシンプルに自分の気持ちを受け取ったり、何かを思いついたことに喜んだり。そういう風になりたいなと思います。

満足にもレベルがあって、上をめざすと終わらないけど、小さいことに感謝したい。こういうマンガ描きながら、僕も感謝できていないから、これからは感謝のプロになりたい(笑)。マンガを描くときはいつも、世の中にはない「こういう言葉があったらいいな、こんな人がいたらいいな」を、ないなら作っちゃおうという感じで描いてる。だから誰かのために描いていると思っていたけど、実は全部僕の足りないところを描いているだけなんだよね。僕が強くて困っている人にやさしい言葉を書いているんじゃなくて、僕も弱くて困ってるから、いいことを考えようって。多分この本を描いているときは自分も弱いと気づいていなかったけど、できあがって、ようやく本当の自分がわかってきた感じなんです。


近くにある、大切なことを教えてくれるのは猫。改めて気づかせてくれた、このお話がすごく好きです。

ニュースも大切だけど、近くのことを忘れちゃうよね。

新著『マムアンとララちゃん』大好評発売中!
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text:Mayumi Akagi
リンネル2025年2月号
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まず、表紙のタッチが、今まで見たことのないタムくんの作品という感じがして新鮮でした。