土岐麻子さん「年齢を理由に、臆病や億劫にならずにいたい」/ベスト・アルバム『Peppermint Time 〜20th Anniversary Best〜』インタビュー 土岐麻子さん「年齢を理由に、臆病や億劫にならずにいたい」/ベスト・アルバム『Peppermint Time 〜20th Anniversary Best〜』インタビュー
都市で暮らす人々の風景や息づかいを、良質なサウンドで表現し、最近では国内外で話題の<シティ・ポップ>を象徴する存在としても注目を集める、土岐麻子さん。ソロ活動20周年を迎え、ずっと変わらずに輝きのある音楽を作り続ける秘訣、そして美しさの基準をおうかがいしました。
<シティ・ポップ>は自分の音楽性をうまく表現できる言葉
━━ソロ活動をスタートさせて20周年を迎えられました。
単純にこう数字で考えると、あっという間に20年に来たような感じもするけど、ソロ初アルバムをリリースしてから、ほぼ毎年1枚の割合で作品を発表し続けてきたので、それらを振り返ってみると、長かったなというか。充実した20年間だったなと思っています。
━━現在では<シティ・ポップ>を代表する存在として注目されています。
ソロ活動当初はジャズのスタンダード・アルバムを手がけたのですが、それは当時結成していたバンドと違うものを発表したくて、制作したものでした。つまり、バンドありきで考えた企画だったのですが、アルバム発売直前になって解散することになり、結果的にソロ・デビュー作になってしまいました。最初は、慌てた部分もあったんですけど、自分なりにソロで何をやっていきたいのかと考えたときに、やっぱりポップスをやりたいと思って。ジャズの要素も好きだけれども、小さい頃に聴いていた、山下達郎さんやEPOさんなど、今でいう<シティ・ポップ>と呼ばれる音楽を、現代的な解釈を加えて表現したいと。でも、当時はそういった音楽をまとめて形容してくれる、ジャンルや言葉がなかったので、1970~80年代ポップスっていうくくりでしか表現できなかったのです。それから、自分のなかで計画をたてて作品を発表していき、徐々に70~80年代の名曲のカバーや、そこから影響を受けたポップスにたどり着きたいと思っていました。やがて、<シティ・ポップ>という言葉が浸透していったことによって、自分の持っている音楽観を多くの人と共有できるようになれた気分になったというか。偶然に私が影響を受けて、憧れている音楽の要素が、再び脚光を浴びているような感覚がありますね。
━━なるほど。
また、いい音楽って時代を経ても色あせないんだなって、このリバイバル・ブームから改めて感じることができました。私自身、リリースから時間が経過した現在でも、新鮮さや衝撃が消えることがないし、今も憧れがある。私もそういった楽曲を作っていきたいなと思いますね。
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