自律神経を整えるには、寝る前やリラックスする時間の過ごし方が大切です。今回は小林メディカルクリニック東京院長・医学博士の小林暁子先生に、安眠につながる寝る3時間前の過ごし方や日々の生活でリラックスする方法について教えていただきました。心身のリズムが整えば、免疫力もアップします。
寝る3時間前を大切に過ごしましょう
夜は交感神経優位から副交感神経優位への切り替えをスムーズにして安眠へ。刺激を避けてクールダウンするひとときを持ちましょう。
□寝る3時間前には夕食を終えて、リラックスする時間に
夕食後の3時間は睡眠の質を上げるための大事な時間帯。早めに夕飯を食べ終えると、後片付けや入浴をしたとしても、時間に余裕ができるはずです。このときを、自分の好きなことに浸れる時間にしましょう。録画してある番組を見たり、音楽を聴いたり、読書をしたり。腸はリラックスして副交感神経のスイッチが入ったときに動きが高まります。時間がない場合でも、アロマの香りをかいだり、お気に入りの寝具に包まれたり、自分なりのクールダウン法を見つけてみて。
遅めの夕食になってしまったときは、こんなものがおすすめ!
消化に負担のかかる揚げ物や生ものを食べると、寝つきが悪くなるので避けましょう。主食は控えめにして、スープや具だくさんのみそ汁などがおすすめ。腹八分を心がけて。
□バスタイムは1年中、湯船につかる
毎日入浴する目的は、体を清潔に保つことのほか、血流をよくして深部体温を上げ、睡眠の質を高めることにあります。なので、夏でもシャワーではなく湯船に入ることを心がけてください。入浴でいったん体温を上げると、1時間ほどして体温が下がったときに、自然に眠気が訪れて寝つきがスムーズに。ただし、42℃以上の熱い湯は、交感神経が活発になって血管が収縮し、直腸の温度も上がって自律神経のバランスを崩す原因になります。40℃くらいのお湯につかりましょう。
POINT
おすすめの入浴法
40℃くらいのお湯に首までつかって3分、温まったらみぞおちくらいまでの半身浴で10分ほどつかって、13〜15分が理想。ぬるいお湯だと体が冷えてしまうという人は、最初はぬるく、上がる前に少しだけお湯の温度を上げると、ぽかぽかが長続きします。
□スマートフォンやPCをなるべく遠ざける
スマホのブルーライトは交感神経を優位にしてしまい、それによって睡眠の質が下がります。結果的に自律神経のバランスが悪くなり、不調が出やすくなってしまう体に。ただ、「スマホを見てはいけない」と思いすぎるのも逆効果。週に1日でも、夜のスマホ断ちをしては。
□寝る前に明日の支度を
朝、散らかった部屋を見ながらバタバタと出かける準備をするものの、忘れ物をして遅刻ギリギリ……では、朝からイライラして、自律神経が乱れた1日になってしまいます。寝る前に部屋を片付けて、明日着ていく服を準備し、バッグや財布の中身を確かめておいて。こうして、普段から決まったものが決まった位置にあれば、何かが見つからなくて焦り、自律神経が乱れたまま1日をスタートさせることがなくなるはず。心地よい明日を、この時間で作りましょう。
こんなことをすれば、次の日慌てずに済むかも!
・翌日必要なものを確認し、バッグに入れる
・財布は必要な金額だけを入れ、レシートを整理
・明日の気候を確かめ、着ていく服を準備
教えて小林先生!
Q. 仕事や友人との集まりで夜遅く帰宅する日は、どんな過ごし方をすればよいですか?
リラックスする時間を作りましょう
ストレスを感じたり忙しくて慌てているときも、あえて平常心を保ちリラックスする方法をもつことで、心身のリズムが整います。
□ぼんやりする時間をもつ
交感神経、副交感神経ともに、よい状態にもっていくためには、1日の中に「何もしない時間」をもつこと。やることが多い人ほど、ぼんやりする時間を大切に。お茶を飲み、音楽を聴いてポーッとするのでもよいですし、散歩をしながら空を見上げるのでもOK。何かを考えてしまうときは、好きな本を読んだり、日記を書くのでも◎。こんなときにこそ、脳は次の行動の準備をしているのです。
□家族や友人、ペットなどとのふれあいの時間を楽しむ
スキンシップをすると、幸せホルモンのオキシトシンが分泌しストレスが軽減することがわかっています。家族とのスキンシップはもちろん、ペットとのふれあいでも効果はあります。また、家族や親しい友人と語りあい、心の通うコミュニケーションをとることもおすすめです。
教えてくれたのは……小林暁子先生
illustration:Rena Yamanaka text:Ema Tanaka web edit:Mina Ota
リンネル2020年6月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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