LIFESTYLE
:【吉田羊さんの着物と12のアソビゴコロ】 第12回 (最終回):テイストをアソブ
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:アンティーク着物を愛する吉田羊さんが、四季折々に着物のおしゃれを楽しむ様子を撮り尽くしたフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)を発売。その至極の着こなしの数々から、「着物で遊ぶ」をテーマに切り取ったアソビゴコロあふれる着物語りを12か月にわたって綴ってきました。最終回の第12回で遊ぶのは「テイスト」。
こんにちは、吉田羊です。
着物スタイルだからこその「アソビゴコロ」をお伝えしてきた連載も
今回で最終回。最後のテーマはテイスト。
つまり、どんな味付けで着物のおしゃれを料理するかということ。
どんな風味に印象づけたいかを考えながらのコーディネートは
いく通りものおしゃれの可能性を広げてくれます。
目指したいテイストを表す色柄を組み合わせて
例えば「今日はどんなごはんを作ろうかな」と思ったとき、何から考え始めますか?
冷蔵庫の素材を見てというのもありですが、今日の気分が和食か中華かイタリアンかを決めると、そのあとが早い気がします。テイストが決まれば、出汁や調味料、ハーブ、素材の組み合わせのイメージがわいてくるから。
着物のコーディネートを考えるときも、テイストから決めると選びやすいもの。
テイストが決まれば自ずと、どの色柄にするか、小物は何を合わせるかが見えてきます。
自身の感覚も大事に“アバンギャルド”を表現

正しいか正しくないか、合うか合わないかじゃなくて「合わせたいかどうか」を優先させることも、着物をコーディネートするときに大切にしています。
大胆に花の絵柄が描かれたこの着物を見たとき、直感的に「かっこいい!」と思い、その気持ちを表現するために「アバンギャルド」をテーマにコーディネートすることに。

「アバンギャルド」という抽象的なテイストを、さて、どう料理するか。自分流に解釈すると「枠になんてはまらないぜ!」というイメージ。いっそ徹底的に遊んじゃおうと色がふんだんに使われている帯をチョイス。丈が短い着物だったので、思い切り短く着付けて、足もとにはベロア生地のロング足袋と草履を合わせたり、頭にバンダナを巻いたり、派手なショルダーバッグを合わせたり。抽象的なテイストをテーマにすることで、思ってもみない自分を発見できました。


好きなテイストの傾向を調べるのも楽しい

観劇に行く日。レトロな街並みに合わせて、「モガテイスト」に決めて、落ち着いた色合いの花柄の着物と、海外のファッション誌が描かれた帯を選びました。頭には落ち着いたネイビーのモガハットをかぶり、足もとはブーツで仕上げて。「モガ」が流行った大正時代は資料もたくさんあるので、検索しながら自分の好きな柄や色を学んでいます。アンティーク着物にハマってから、その時代性を調べるようにも。当時流行したデザインや色、柄の資料を眺めているだけでも、「あ、私はこれが好きだな」とわかってくるもの。そんなふうにして、自分の好きな「テイストストック」を作るのも楽しいものです。
シチュエーションからテイストを決めるのもあり

アートを楽しむ人ってどんな人? どんな着物を着るかしら?ってことから発想し、テーマを「シンプルモダン」にしてコーディネートを考えました。美術作品を見るときは、作家の創造性や視点をインプットしたいから、自分自身はなるべくフラットでありたい。ということで、できるだけシンプルにモダンな印象になるような着物合わせを。色数を黒と紫と緑の3色に絞って、全体をコーディネートしています。


この時期は秋だったので、秋のフルーツということで帯留めを葡萄モチーフに。葡萄の葉の緑からインナーや帯揚げの色を緑に決めました。レースの羽織や柔らかいインナーの素材感もモダンなイメージを印象付けてくれます。手にはハラコのバッグを持ち、全体を大人に味付けしました。
そのほか、洋服同様に、フレンチやガーリー、ヨーロピアン、アジアンテイストなら「こんな感じ!」とイメージが湧きやすいのでは?
また、夏だからマリンテイスト、秋だからレトロテイストなど、季節の気分をテイストに置き換えるとコーディネートの幅を広げてくれます。自分の好きなテイスト、それを表現する組み合わせのバリエーションをふやして、着物のおしゃれをぜひ楽しんでください!
吉田羊さんのフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』好評発売中です!
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キモノ語り:Yoh Yoshida edit & text:Masaki Takeda(mineO-sha)
photograph:Kayoko Asai[美術館]、Yuki Kosuge & Koji Fujii[アバンギャルド、モガ]
※人物カットはフォトエッセイ『ヒツジヒツジ』(宝島社)から
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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