北欧

寒さが厳しい雪の季節をアクティブに過ごすアイデア <フィンランド西海岸の12か月> 寒さが厳しい雪の季節をアクティブに過ごすアイデア <フィンランド西海岸の12か月>

『リンネル』の連載「フィンランド西海岸の12か月」。その暮らしは、華やかでも特別なものでもなく、自然とともに、毎日を丁寧に生きるだけ。フィンランドに住む4人のデザイナーたちが発信する地域ブランド・アンナヤリーサが綴る、フィンランドの歳時記をお届けします。今回は雪と氷に覆われたモノトーンの季節をアクティブに過ごすアイデアをご紹介します。

目次
寒さが厳しい雪の季節をアクティブに過ごすアイデア <フィンランド西海岸の12か月>
  1. 雪と氷に覆われる本格的な冬の到来
  2. 年に一度の季節のお菓子「ルーネベリタルト」
  3. なつかしい切り紙遊びを、温かなインテリアに
    「雪の季節にぴったりの雪のモビール」
  4. アンナヤリーサとは
  5. 教えてくれたのは……「アンドフィーカ」代表 今泉幸子さん

雪と氷に覆われる本格的な冬の到来

森のなかで積雪を楽しむエリーナ。雪が積もると、真っ暗だった森のなかに街灯が灯ったような気持ちになります。

フィンランドの1月と2月は、一年中で一番寒い季節。氷点下20度は当たり前で、30度以下になることも珍しくありません。クリスマスの20日後、クリスマスデコレーションが外されると、春が訪れるまでの数か月の間は雪と氷に覆われ、モノトーンの景色のなかで過ごします。

「雪の積もりはじめは、木の枝に積もった雪がアイスクリームみたいにふわっとしていて、それがだんだん凍って固まっていくの。まるで自然の街灯みたい」とエリーナ。日照時間は相変わらず短いのですが、外一面が雪の反射で明るくなるのです。「寒くないの?」と聞くと、「寒く感じるのは服が悪いのよ。ちゃんと防寒していれば大丈夫」とのこと。学校では、氷点下15度になるまでは、休み時間は外で遊ぶそうです。「今日は雪のなかをソリで通園。娘のルートは大はしゃぎだったわ」とタニヤ。

気温が下がってくると、窓に霜がはりつきます。この日は、トリの羽のような美しい文様でした。

雪と氷が織りなす海上ウォーキングの楽しみ

ヨハンナの娘、シグネも雪遊びが大好き。どんなに寒くても、雪が降ると外に出たくて仕方ありません。

雪が積もる前はスケートが楽しめていた海が、凍った海に雪が積もると、雪と氷の表面に光が射し幻想的な光景になります。スパイク付きの靴をはき、でこぼこになった海の上を歩くのも、この時季ならではの大自然の楽しみ方のひとつです。「ここがいつも泳いでいる海だなんて信じられないわ。月旅行に来たみたいなの」とヨハンナが力説します。

もちろん雪の季節は楽しいことばかりではなく、雪が積もった日は夜中のうちから除雪車が来て、通勤時間までに道路の雪を除雪します。「大きな音をたてて除雪車が通ると、その音で目が覚めることもあるわ」とエリーナ。そんな日は自宅の前の雪かきも重労働で、ときには何時間もかかります。気温が下がりすぎると水道管が凍りつくこともあるので、真冬の家のメンテナンスは夏場の何倍も大変です。

氷点下15度ぐらいになると、髪の毛が凍るのがわかります。これ以上気温が下がるといろんな不具合に要注意、という指標になります。
雪が積もったオストロボスニアの海。陸なのか海なのか、そしてこれが地球上なのかと思うほど、幻想的な光景です。

年に一度の季節のお菓子
「ルーネベリタルト」

タニヤが働くベーカリーの出来立てのルーネベリタルト。表面が粗く、ざらざらした感じが特徴です。白いアイシングの真ん中のラズベリージャムがトレードマーク。

1月のもうひとつの楽しみは、季節のお菓子「ルーネベリタルト」。ルーネベリは、19世紀に活躍したフィンランドの国民的詩人で、ルーネベリの誕生日である2月5日は「ルーネベリの日」。この頃になると、ベーカリーやスーパーマーケットに、ラズベリージャムのトッピングがトレードマークの愛らしいルーネベリタルトが登場します。

ルーネベリタルトは、甘いもの好きのルーネベリのために、妻がクリスマスのジンジャーブレッドクッキーの残りを砕いて作ったのがはじまりといわれるお菓子ですが、工程が多くて作るのが大変なので、今ではホームメードで焼く人は少ないようです。タニヤ曰く「結構こってりしたお菓子だし、そんなたくさん食べるものじゃなく、お気に入りのベーカリーのを年にひとつ食べる感じかな。もちろん一番おいしいのはうちのお店よ!」

焼き型は、少しだけ角度がついた独特の円柱形。

なつかしい切り紙遊びを、温かなインテリアに
「雪の季節にぴったりの雪のモビール」

日本でもおなじみの折り紙の雪の結晶。パターンペーパーを使ってモビールにすれば、冬の窓辺のインテリアにぴったりです。

数か月もの間、雪とともに毎日を過ごすフィンランド人にとって、雪の結晶は冬を象徴する形です。そして、実際の雪の結晶をよく見ると、少しずつ形が異なっているのがわかり、いろんな想像力が湧いてcきます。パターンペーパーを六角形になるように折って作った雪の結晶。どんな形になるかは、開いたときのお楽しみ。

HOW TO MAKE

1.雪の結晶のルールは、六角形になるように折ること。まずは二つ折りにし、それを三等分。そしてさらに二つ折り。これで準備完了。
2.想像力を使って、自由に切る。ちょっと硬いので、細かい作業は慎重に。

3.開く瞬間が一番楽しい。もうちょっと複雑にしたいときは元に戻してまたカット。糸を通してつなぎ合わせると、モビールの出来上がり。


アンナヤリーサとは

アンナヤリーサ(Anna ja Liisa)は、フィンランド西海岸オストロボスニア地域に住む4人のデザイナーたちが発信する地域ブランド。左より、タニヤ、アンドレアス、エリーナ、ヨハンナ。

ヘルシンキの北西約500キロ。起伏がない広大な大地の向こうには、真っ直ぐな地平線が広がっています。普通の暮らしのなかに、必ず喜びや楽しみがあり、小さな感動からデザインが生まれます。

教えてくれたのは……「アンドフィーカ」代表 今泉幸子さん

7年前に初めてこの地を訪れ、自然の美しさと人々の温かさ、そしてデザインのある暮らしに感動。以来、毎年のように現地に通い、デザイナー4人との心の通い合いがアンナヤリーサ誕生のきっかけとなりました。デザイナー4人とともに、アンナヤリーサの12か月の暮らしについてお伝えします。

https://www.andfika.com

>> 東京・神奈川で、北欧の味に出会えるお店4選【パン屋やカフェ】

>> 北欧スウェーデンのおやつ時間「FIKA」にまつわる話「シナモンロール」

photograph:Anna ja Liisa edit & text:Sachiko Imaizumi web edit:Riho Abe
リンネル2022年3月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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