CULTURE

アイナ・ジ・エンドさん「必死に生きる人々の情念を描きました」/新曲「Love Sick」インタビュー アイナ・ジ・エンドさん「必死に生きる人々の情念を描きました」/新曲「Love Sick」インタビュー

あくまでも映画の一部として完成させた新曲

アイナ・ジ・エンドさん/新曲「Love Sick」インタビュー

━━そして今回発表した新曲「Love Sick」は、映画『劇場版モノノ怪 唐傘』主題歌として制作されたものですね。

最初、この作品の主題歌というお話をいただいたとき、正直ものすごく難しい題材なんじゃないか、自分は理解できるのかな?という不安がありました。ですが、作品に触れていくうちに、普通の暮らしのなかで起こる、何かを捨てて何かがやってくる循環のなかで、そこから自分は何を選んで生きていくかみたいな、誰にでも経験したことのあるような話を深く掘り下げて表現している物語であることに気づいて。そこから、作品に向きあうことに対する不安は感じなくなりましたし、刺激的な作業になりましたね。

━━この楽曲は、TK(凛として時雨)さんがソングライティングおよびプロデュースを担当。

TKさんとコラボさせていただくのは、これで2回目。 前回は、初めましてということもあって、あんまり自分の意見を言うことができず、いただいた楽曲を精いっぱい歌うことだけに集中するしかなかった。でも、今回は映画を観て受けた感覚を伝え、このフレーズではもっと疾走感をもたせた方がいいとか、作品にある情念をこういう声色で表現したいみたいなディスカッションができたので、前回とはまるっきり異なるというか。さまざまな角度で作品をとらえながら、制作できたと思います。

━━楽曲では、特に映画のどういう部分を伝えたいと思いましたか?

女性たちの情念が、この映画のテーマになっていると思い、楽曲もそれに添ったものになっていると思います。これはTKさんのアイデアなのですが、歌詞は相手が見えてくるような描き方というか。自分ごとだけで終わらせずに、誰かに何か訴え続けているようなものに。それは、映画の世界とリンクしていたし、また私が伝えたかったこととも一致していたので、とても取り組みやすかったですね。

━━確かに、とても情念を感じるヴォーカルだと思いました。そこにはアイナさん自身の感情も注ぎこんでいたのでしょうか?

あんまりそういうことを考えすぎたりせずに、私は感じたままを歌わせていただくことだけに集中しました。映画に感化されすぎて歌うと、一辺倒な表現になってしまう気がして。これは、あくまでも映画の世界に寄り添う楽曲なので、できるだけ視野を広くして、自分が歌える精いっぱいのことを表現しようと思いました。

━━アレンジは、映画の世界に通じる美しさと混沌を感じるサウンドに。その展開のある音は歌っていて、気持ちよかったですか?

いや。とても難しかったです。TKさんって男性なんですけど、とても高いキーでも歌える方なんですよね。だから、いただいたデモ音源は、たまらないくらいの高さで、驚愕してしまいました。だから、そのキーにあわせて歌うことに必死で、気持ちよく歌えた部分はまったくありませんでした。でも、その必死な感じが、映画の登場キャラクターたちの情念、奇妙な感覚などとマッチしていると思ったので、今となっては高いキーに挑戦できてよかったと思います。

━━楽曲を完成させて、何か得られたものはありましたか?

映画に華を添えるようなものを作りたいという熱量をもって、私を含め楽曲に関わった方々が一丸となって取り組んだ楽曲。その熱量はとても偉大なものだったように感じています。

━━この楽曲を通じて、どんな世界を感じてほしいですか?

映画の世界に寄り添う楽曲を作りたいという気持ちで制作したものなので、単体でどう感じてほしいという思いはないですね。もちろん、楽曲自体を楽しんでいただくのは、ありがたい話なのですが、全体に流れる和の表現とか、この作品ありきで制作したもの。だから、映画を観たあとに、全体を通して何かを感じていただきたいというか。『劇場版モノノ怪 唐傘』を構成するひとつとして、愛おしく思っていただけたら。

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