CULTURE

注目の人・瀧内公美さんの仕事論 「やれること」が、いつしか「やりたいこと」に。 しんどさ、わからなさを乗り越えて、人はプロになっていく/舞台『夫婦パラダイス〜街の灯はそこに〜』インタビュー 注目の人・瀧内公美さんの仕事論 「やれること」が、いつしか「やりたいこと」に。 しんどさ、わからなさを乗り越えて、人はプロになっていく/舞台『夫婦パラダイス〜街の灯はそこに〜』インタビュー

探し続けた自分の居場所。
「こうしたい」は、常に胸の奥に

瀧内公美さん

━━映画『彼女の人生は間違いじゃない』では、被災地の福島と渋谷の繁華街を行き来し、見えない明日を模索する女性を。『火口のふたり』では、結婚式を数日後に控えながら、震災で全てを失った昔の恋人との逢瀬を重ねる女性を。これまでに出演した代表作の中で瀧内さんが演じてきたのは、厳しく痛ましい「今」とリアルに向き合う、ひたむきな役柄でした。

「俳優としてのキャリアを始めた20代の頃は、まだ制服を着る女の子を演じる作品が多かったんです。でも、そうしたものに出演したとしても、実年齢が近い方たちには絶対に勝てない。だから私は、大人の表現でやっていける道を選ぼうと……ほかの人がやっていない分野を掘り進めて、自分の居場所を探していこうとしていました。そのなかで、結果的にリアリズムの世界に向かっていったという感じですね」

━━瀧内さんが譲らなかったのは、「こうしたい」という意志を貫くこと。

「この監督の作品に出たい、この方と一緒にやりたいといったことは常に思っていましたし、逆に、こうしたタイプの作品には出たことがあるから次は違うことに挑戦したいなど、常に幅を広げることも大事にしてきました。わがまましか言っていなくて、本当に申し訳なかったんですが、それを叶えてくれる方々が周囲にいたのは本当に運がよく、ありがたいことだったと思っています」

━━それでも「若いうちに大作映画に出ていたら人生変わっていただろうな、と思うこともありますよ」と瀧内さん。そんなときは、心の中で静かにこう唱え、自らを戒めるといいます。

「まず、終わったことは気にしない。そして、やりたいことをやるんじゃなくて、やれることをやる。それが、気づいたらやりたいことになっている可能性が高いから。特に、仕事はそうですね。仕事って『仕える事』だから、自分がやりたいことだけをやっていて楽しいといううちは、仕事になっていないし、まだプロじゃない。苦しいし、しんどいし、わからない、でも、そこを乗り越えていこうと思うからプロになっていけるんだと思うんです」

━━美しさも、落ち着いた佇まいも、この凜とした精神があってこそ。演じることに対する前向きな思いを保つためにも「プライベートは、好きなことだけをやります」と瀧内さん。ふわりと頬をゆるめます。

「好きなのはヨガですね。4年くらいやっています。今は稽古があるので、とにかく早く寝て早起きして、早朝に体を動かしています。朝6時前だと、まだちょっと涼しいんですよ。少し日光を浴びたりもして、自分の時間を過ごすのが、今の楽しみです」

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