睡眠時間は足りている？ 週末の眠りでわかる、あなたの睡眠負債をチェック 睡眠時間は足りている？ 週末の眠りでわかる、あなたの睡眠負債をチェック

ついつい夜寝るのが遅くなり、朝は頭がぼんやり、日中も眠気が…。そんなあなたは睡眠負債がたまっている状態かも。どのくらいの負債なのかチェックする方法を、スタンフォード大学で睡眠について研究している、西野精治先生に伺いました。

睡眠負債ってなに？ 睡眠は質も量もどっちも大事

すっかり定着した「睡眠負債」という言葉。
日々の睡眠不足が借金のようにたまって、心身の健康に影響している状態です。「日本人の睡眠時間は6～7時間で世界の主要都市の中でも最も少ないといわれています。ただ、睡眠は時間だけではなく質も大切。睡眠の質は、日中の自覚症状に現われています」と、西野精治先生。

日中の気になる症状は下記の5つ。

・朝の目覚めが悪い
・寝ても疲れが取れない気がする
・日中、ぼんやりして集中できない
・イライラしがち
・昼間や夕方に眠くなる

このうち、1～2個でも当てはまったら要注意。
睡眠は脳と体を休ませ、記憶を整理し、自律神経とホルモンバランスを整えるメンテナンスの時間。質の悪い睡眠では、脳の中の老廃物を取り除くことができません。
たとえていえば、寝る前に食洗機に食器を入れて洗ったつもりが、スイッチが入っておらず翌朝も汚れたままだった…。こんな状態で朝を迎えているのと、同じなのです。

【睡眠負債チェック】睡眠負債は平日と休日の睡眠時間の差でわかる

睡眠負債は、
（「その人の適正な睡眠時間」－「実際の平均睡眠時間」）×日数＝「睡眠負債」です。

「日数が重なるほど睡眠負債は増えますが、とはいえ睡眠負債が何時間と、正確に計測する方法はありません。ただ、予定のない休日に、平日よりもどれくらい長く寝ているかを調べればある程度推測できます」
休日の前夜、アラームをセットせずにカーテンを閉め切り、自然に目が覚めるまで眠ります。そして、睡眠時間を計算します。

〇　平日の平均より30分～1時間長く寝た…睡眠負債はほとんどありません
△　平日の平均より90分以上長く寝た…やや睡眠負債あり
×　 平日の平均より2時間以上長く寝た…慢性的な睡眠不足。睡眠負債解消のため、生活習慣の見直しを！

実はあなたは思い込み不眠かも？ 「最悪の夜」を基準にしない

この睡眠負債は、自分の睡眠の実態を知るためにも重要。
「不眠だと訴える人の中でも、実際は眠れているのに不眠だと思い込んでいる人もいるのです。寝つきが悪いと気にしている人は、寝ようとすればするほど交感神経優位になり寝付けなくなります。そんな日が週に1～2回あるだけで、『私はいつも睡眠不足だ』と思い込んでしまうのです」

不眠を気にしていると、「最悪の夜」を基準にしがちですが、それ以外の日にしっかり寝ていたら、たいして睡眠負債はたまっていないはず。
また、年齢を重ねていけば、若いころに比べて早く起きてしまう、というのも自然な現象なので心配なし。むしろ早く起きた分、早朝から活動を始めれば、1日中を有効に使えてその日はぐっすり眠れると考え、ポジティブに過ごすのがおすすめです。

教えてくれたのは…西野精治先生

スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠・生体リズム研究所所長。医師、医学博士。2000年にナルコレプシーの主たる発生メカニズムを突き止める。2007年、日本人として初めて、スタンフォード大学医学部教授に就任し、睡眠、覚醒のメカニズムについて研究。株式会社ブレインスリープの最高研究顧問も務めている。『スタンフォードの眠れる教室』（幻冬舎）ほか、著書多数。

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text:Ema Tanaka illustration:Kayo Yamaguchi
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