LIFESTYLE
:香道の入門編。香りを聞く「聞香」を、女優・麻生久美子さんが体験!
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お香が好きで家でも焚いている、という女優・麻生久美子さん。華道、茶道に並ぶ日本の三大芸道「香道」にも興味津々です。ただ、初めはいろいろとハードルも高いので、今回はその入り口ともなる聞香炉で香片木をあたためて香りを楽しむ「聞香」を体験します。
香道の入門編。香りを聞く「聞香」を、女優・麻生久美子さんが体験!
教えてくれた
香道御家流師範・丸山堯雪(ぎょうせつ)さん profile

香りを聞く、「聞香(もんこう)」ってなに?
「聞香」とは、聞香炉で香片木をあたためて香りを楽しむこと。流派によって聞香炉の扱い方、「灰手前(はいでまえ)」といわれる灰の整え方、香りの聞き方などに作法の違いがあります。
麻生:香りを嗅ぐ、ではなく聞くというのですね。
丸山:香木の香りを心で聞き取るという意味があるんですよ。
麻生:香木というものを初めて知ったんですが、これはいったいどういうものなんですか?
丸山:沈香(じんこう)って聞いたことはないですか? 東南アジアの熱帯に生えるジンチョウゲ科の木がありましてね。この木が、虫食いにあったり病気になったり、さまざまな原因で傷つけられたところに菌が作用して、長い年月をかけていい香りを発する樹脂を内部に生成するんです。ほかの部分は朽ちても、その部分は土中などに残って。偶然によって変化した産物、それが香木、つまり沈香なんです。
麻生 : ええ! 自然にできたものなんですね。
そうなんです。その大きな沈香が推古天皇の時代に淡路島に漂着してきて。漁師が浜で焚き火にくべたらとてもいい香りがした、と『日本書紀』に書いてあるんですよ。沈香の中でも最高級のものが伽羅(きゃら)といわれます。香道というのは、沈香の香りを鑑賞すること。室町時代の後半に生まれた芸道なんですよ。
麻生:言葉は聞いたことがあってもよく知りませんでした。
丸山:人工的に作ることができないから、とても価値があるんです。同じ沈香といっても産出された場所や状況で香りも違うんです。今日は、寸聞多羅(すもたら)、左曾羅(さそら)、伽羅の3種を聞いていただきますね。

天然の香木3種を聞いている麻生さん。
麻生 : こんなに小さな木片でもいい香りがしますね! そして、それぞれ香りも違います。
丸山:白檀のような左曾羅、伽羅は聞き慣れていることもあって日本人好みよね。寸聞多羅はちょっとエキゾティックで。
麻生:私は寸聞多羅が好きです。なんだかアジアのリゾートホテルにいるような気がしました(笑)。伽羅もさきほど「焼き芋の香り」と言った方がいる、と聞きましたが、確かにほのかに甘いです。
丸山:楽しいでしょう? 聞香は香道の入り口。「組香」というのもあって和歌や『源氏物語』にちなんで何の香りかを当てたり、日本が誇る文化が詰まっているんです。
麻生:初めて知ることばかりで勉強になりました。
麻生さんが聞香を体験!

【STEP 1】灰の中に炭団を埋めます

灰の中に、電気コンロで熾した炭団を埋めます。「炭団の熱で香木があたたまり、香りがたつんです」(丸山先生)。香木の種類によって、ふさわしい温度があるそう。
【STEP 2】火筋で箸目をつけます

灰を山にし、灰押し、火筋といわれる道具類を使い、聞香炉をまわしながら箸目をつけます。「この箸目の形状にも意味があり、大切なところなんです」

【STEP 3】 興味深い灰手前

箸目は5分割につけるところ、麻生さんは最初、間違えて6分割に! 2回目のチャレンジで先生も驚くほどのきれいな仕上がりに。
【STEP 4】香木を銀葉に置きます

とっても小さい香木
灰の山の中心に、銀葉と香木を置きます。銀葉とは雲母の板に銀線で縁取りしたもので、香木を間接的にあたためる道具。香木のあまりの小ささに驚いた麻生さんに、「これでも大きいほうなのよ」と先生。

【STEP 5】香りを聞きます

香炉は左手で皿のように受け、右手で全体を覆います。親指と人差し指の間の隙間に顔を近づけて、3回にわけて香りを聞きます。「あ、この香り知ってる!」と麻生さん。
初の聞香体験を終えて…

天然の香木があるなんて考えたこともなかったんです。聞香も初めて知ったので未知の世界。最初は緊張していましたが、先生がとても明るくて素敵! 灰手前がとても楽しくて、灰の表面に火筋で箸目をつけるとき「あなた、センスあるわよ!」と何度も褒めていただいたのがうれしかったです。
今回訪れたのは「香十 銀座本店」
photograph:Ryoko Amano styling:Ritsuko Hirai hair & make-up:Yumi Narai text:Tomoko Yanagisawa web edit:Riho Abe
リンネル2021年12月号より
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