LIFESTYLE
:【東京のおいしいお店 南青山:のみやパロル】 おいしいもの好きの業界人が愛するお酒と家庭料理の名店! ふらっと一人でも行きたくなるその魅力とは?
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:お店を形作るひとつひとつに“自分らしさ”を突き詰めてきた店主たちにお話を伺いました。愛され続けるこだわりが詰まった魅力について迫ります。今回は、食に敏感な出版やファッションの業界人から愛されるお酒と料理の名店「のみやパロル」。日暮れ時ともなれば、小さな店の席はあっという間にいっぱいに。
今回のお店:のみやパロル
家庭料理らしさを大事にした週替わりのおばんざい

数種あるポテトサラダ。この日はみおこさんレシピのスパイシーなインド風味。
午後の陽が降り注ぐ「のみやパロル」の厨房。調度も、整然と並ぶ器も白が基調の空間で、店主・みおこさんも白いシャツとエプロン姿で仕込みにかかります。
「週替わりのおばんざいには、ポテトサラダとカルパッチョは必ず。定番のメニューもありますが、時々こういうのもいいかも、と思いついてアレンジしたりもします。『今日、これがあるから食べる?』という、家庭料理らしさを大事に」
人生を自在に切り開く母の背中をみてきました

店の器の多くは親族でもある故・黒田泰蔵氏の磁器。
日暮れ時ともなれば、小さな店の席はあっという間にいっぱいに。食に敏感な出版やファッションの業界人から愛されるお酒と料理の店を開いたのは、みおこさんの母、桜井莞えみこ子さんです。デザイン会社勤務を経てケータリング業を興した莞子さんが店を開いたのは、70歳の時。人生を自在に切り開く母の背中を、みおこさんは見てきました。
「私が子どもの頃にも『ちょっとアメリカのケーキの学校に行く』って、突然家を空けるような人で(笑)。何かしていないとダメだったんでしょうね。店を開けて待っていれば誰かが来てくれて、飲んで食べておしゃべりできる。店での様子を見て、本当にみなさんに愛されているんだなと思いました」

母曰く、店は「最高のおもちゃ箱」。その聖域に、専業主婦で子育て中だったみおこさんが関わり始めたのは、コロナ禍がきっかけでした。営業自粛で意気消沈した母を励まし、常連客からの熱望に応えて店を再開してからは、莞子さんに代わって店を切り盛りする存在に。
「それまでは頼まれても『うーん』とはぐらかしていましたが、店がなくなってしまうのは私も嫌だったから、『手伝うから、やろうよ』と母を説得して……。私がメインになっても絶対に変えたくなかったのは、味。そして、店に来たお客さま同士に会話が生まれ、いつの間にか親しくなっていくような雰囲気ですね。で、気がつくと母もカウンターの向こう側に加わっているという(笑)」
厨房は舞台のような場所です

最初こそ不安を覚えていたみおこさんですが、「そこさえブレなければ、あとは自由にやっていいのかなと。母も『みおちゃんのパロルを作っていきなさい』と言っていますし」と、今はすっかり頼もしい店主の貌に。母にとっておもちゃ箱なら、みおこさんにとっては?と尋ねると、「舞台、でしょうか」と答えが返ってきました。
「実は、女優をめざしていたことがあるんです。人から見られているし、こちらもテンションを上げているし、本当に店って舞台だなと。その日のお客さまで雰囲気がガラリと変わるのも同じ。夢が叶った、ってことなんでしょうか」
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photograph:Sana Kondo text:Michiko Otani
リンネル2024年4月号より
※写真・文章の無断転載はご遠慮ください
※掲載している情報は取材時のものです。現在は変更になっている場合があります
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