丁寧な暮らしぶりやセンス溢れる素敵な着こなしで人気を集める内田彩仍さん。日々のなかで内田さんが見つけた小さな幸せや、暮らしの工夫をお届けします。門司港駅近くの喫茶と焼き菓子の店「Bion」は内田さんが大切に通っているお店のひとつ。お店で過ごした素敵なひとときを教えていただきました。「明日もいい日になりそう」と、皆さまが穏やかに前を向けますように。

内田彩仍さん Profile

福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』（宝島社）、『幸せな心持ち』（主婦と生活社）など著書多数。 新刊『変えること変わらないこと: 人生後半を機嫌よく過ごせるよう見直した毎日の暮らし』（主婦と生活社）が発売中。

暑中お見舞い申し上げます。
梅雨もようやく明けて、待ち遠しかった青空が眩しい季節になりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
先日、わが家の庭に置いてあるガーデンチェアで、蝉が羽化しているところを見かけました。「今年はまだ蝉が鳴いていないけどなあ」と思っていたところ、翌朝から申し合わせたかのように蝉の大合唱が始まりました。鳴き声が暑さを増幅させるような気がするのは私だけでしょうか。
今年の夏はとても暑そうなので、皆さまどうぞご自愛くださいませ。

今、秋発売の新刊の撮影をしている最中で、このブログが出る頃には撮了している予定なのですが、先月から今月にかけて撮影日に雨が続いたことがありました。
長雨なのでなるべく効率よく進められるようにと、次回の撮影の打ち合わせをカメラマンさんとしながら「明日も雨で撮影できなそうだから、Bionにお菓子を買いに行こう」ということになり、翌日、車の窓越しに雨の海を見ながら門司港までドライブしました。

九州最北端の港町「門司港」。門司港駅からほど近いレトロな街並みの一角に、喫茶と焼き菓子の店「Bion」はあります。旬の食材を使った滋味深い味わいのお菓子は、オンラインショップでもすぐに売り切れてしまうほど。
店主の寺井きよみさんとは、もう２０年近く親しくしてもらっていて、私の１冊目の本のイベントでも、お菓子を並べてくださいました。
私は、きよみさんの温かな手から作り出される「Bion」の塩バターサブレが世界一美味しいと思っていて、いつも想像するだけで顔がほころびます。

到着時間を予想して、予約の電話を入れていたのですが、当日大雨で出かける人が少なかったのか渋滞に巻き込まれることなく、少し早く着いてしまいました。そんなときも笑顔で快く出迎えてくれたきよみさん。ありがとうございます。
到着した際、偶然にも雨が小降りになり、素敵な外観も撮影することができました。

懐かしい雰囲気の店内に入ると、お菓子の甘い香りと共に素敵な雑貨があちらこちらにしつらえてありました。

冷蔵のガラスのショーケースの中には、いつも12〜13種のケーキが並んでいて、私がこの日選んだのは、フランボワーズのタルトレット。あまり生クリームが得意ではないので、クリームなしで出していただきました。丁寧に金継ぎされたお皿に花びらを添えて。とてもやさしい味わいで、何個でも食べられます。

店内は、大雨のことなど忘れてしまうほど、窓から白い布越しに入る穏やかな光に包まれて、居るだけでとてもゆったりした気持ちに。
「Bion」のタルト。夫も好きで何かの記念日に一緒に休めた日には、ドライブがてらよく買いにきました。
この日はきよみさんと、お互いの近況を話したり、仕事の話を伺ったり、久しぶりに楽しい時間を過ごすことができました。
いつも勉強熱心で、丁寧なお菓子作りをされているきよみさん。身近に頑張っている方がいると、力をもらって自分も頑張ろうと思えます。

帰りに家で食べるお菓子を選んで。次の日が終日ロケ撮影だったので、そのときみんなで食べるお菓子も買って帰りました。
美味しいものがあると、ちょっと大変な仕事のときもいただくだけでリフレッシュできるから、おやつは必需品です。

私が好きな塩バターサブレの風味違いを中心に、スコーンやマフィンも買って帰りました。

「Bion」のお菓子は、人に差し上げても喜んでもらえるから、お世話になった方々へのお礼はいつも「Bion」の缶入りクッキーと決めています。クッキー缶の購入は予約制だそう。今度また予約して買いにこようと思います。

動物形のクッキー。カメラマンさんの猫好きなお子さんへのお土産にしました。

門司港の「Bion」。木曜、金曜、土曜日は喫茶もされているので、是非訪れてみてくださいませ。

撮影が終わった後、みんなで会話しながらいただいたタルト。大雨のなか、思いがけず幸せなひとときを過ごすことができました。
きよみさんまた伺いますね。

美味しいケーキの思い出と共に
皆さまも私も、明日もいい日になりますように。

photograph: Kyoko Omori　text: Ayano Uchida
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