北欧

夫婦別姓や結婚観にみるフィンランドの自主自立の精神 【現地在住の島塚絵里さんに聞く】 夫婦別姓や結婚観にみるフィンランドの自主自立の精神 【現地在住の島塚絵里さんに聞く】

\島塚さんに聞きました/
フィンランドの結婚観と自立の理由

1. 苗字や結婚のかたちにも多様な選択肢がある

夫婦別姓については、選択ができたから旧姓を取っておいたと話す島塚さん。

「フィンランドでは、まったく関係のない苗字にしてもいいと聞いたことがあります。自由なんですよね。家族で同じ苗字にするのもいいけれど、苗字だけが家族の絆を示すことではないと思って、私は別姓にしました。娘は20歳まで二重国籍が許されています。日本では二重国籍を認めていませんが、フィンランドのように選択肢があってもいいんじゃないかなと思います。フィンランドでは事実婚の人が多く、離婚も簡単にできる。そういうこともあって、結婚制度自体が揺らいでいると思います。

お母さんが2人、お父さんが2人の家庭もあって、特にヘルシンキでは結婚が多様化しています。“これが普通”みたいな概念がだんだんなくなっていて、自分のライフスタイルにあった結婚の仕方を選べるようになっているのはいいなと思います。だからこそ、自分で考えをしっかり持っていなければいけない。自分の考えを持つための勉強も必要ですね」

フィンランドの湖と森
森と湖が美しいフィンランド

2. 誰もが実家を出て独り立ちをする

前回の記事で、人をカテゴライズする言葉がフィンランドには少ないと話してくれた島塚さん。フィンランドには主婦も主夫もほとんどいないのだとか。

「基本的に男性も女性も自立しているから、一人でも生きていけます。離婚も簡単にできますが、そのためには自立していないとだめですよね。離婚をすると親権も半々であることが多いので、基本的にどちらかだけが面倒をみるということはほとんどないようです。いろいろな意味でフェアですね。責任を伴いますが、みんな自立するのが基本です。逆に、ずっと実家で暮らしている人の方が珍しいかもしれません。

そんなふうに人として自立している人が多いのは、やはり国からの資金的援助によって、誰もが高校卒業後に実家を出られるというのが大きい気がします。実家を出ることにより、国民みんなが家事、洗濯、掃除、料理など、ひと通りできる大人になっています。

また、学生たちは、ちょっとバイトをすれば暮らしていけるから、学業に専念ができます。親も仕送りのために一生懸命になって働く必要はありません。消費税は24%と高いですが、ちゃんと使われていて、還元されています。だからゆとりがあるんですよね」

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