青木冨貴子さん「ノンフィクションだけど、ラヴストーリーと思って読んでくださると、とてもうれしい」/新刊インタビュー 青木冨貴子さん「ノンフィクションだけど、ラヴストーリーと思って読んでくださると、とてもうれしい」/新刊インタビュー
ノンフィクションだけどラブストーリーのような感覚に陥る、青木冨貴子さんの著書『アローン・アゲイン』が発売。青木さんのパートナーであるアメリカの作家・ジャーナリストのピート・ハミルさんと出会ってから最期までを書き記した一冊。読み進めるうちに“まさに運命!”だと感じる数々の逸話にきっと出合えるはず。
ラヴストーリーと思って読んでくださると、とてもうれしい
ノンフィクションでありながら、あたかもラヴストーリーの小説を読んでいるかのよう! アメリカの作家・ジャーナリストとして知られるピート・ハミルさんのパートナー、青木冨貴子さんの著書『アローン・アゲイン』。出会いから死別まで、33年間にわたる結婚生活を描いた、感動の手記が上梓されました。
「“病気の時も健康な時も、死がふたりを分かつまで”という言葉がありますけど、本当にそう思うんです。ただ、ふたりで手を繋いで死ぬわけにはいかない。どっちかが先にいくわけだから。この本は、私がピートと出会ってから最期までを書きました。ラヴストーリーと思って読んでくださると、とてもうれしいですね」
本書で綴られるのは「まさに運命!」と言いたくなる、数々の逸話。来日中のピートさんを青木さんが取材した出会いの場面からそうでした。
「相手は有名な作家ですし、こっちはドキドキしてるわけです。そんな時、なんと地震が起きて」。後にふたりのなれそめを尋ねられるたび、ピートさんはニヤリとしながら「大地が動いたんだよ」と答えたと言います。
そう、読み進めるうち折々垣間見えるのは、そんなピートさんのチャーミングな人柄。
「こんなにも寛容な人間は、今まで見たことないというくらい。結婚しても『こんな面があったのか』と失望することは、本当にひとつもありませんでした」
しかしつき合い始めた頃は、連絡が途絶えてしまうことも。日本での出会いの後、まもなく「ニューズウィーク日本版」の立ち上げで渡米することになった青木さんと再会、ふたりの仲は急速に縮まりますが、すれ違う日々もありました。
「彼が急に電話に出なくなった時は、もう本当に傷つきました。ましてや私は、ニューヨークでひとりだったので」
やがて結婚し、正式なパートナーとなった後もなお、ドラマチックな展開は続きます。ニューヨーク郊外からメキシコまで、安らげる居場所を求めてさまざまな土地に移り住んだり。9・11のアメリカ同時多発テロ事件が起きた日、ジャーナリストであるふたりは現場に駆けつけ、混乱の最中に離れ離れになったり。やがて大病を患ったピートさんへの、長きにわたる献身的な介護……丁寧な状況描写の積み重ねからじんわりと伝わってくるのは、青木さんが抱いていた深い愛情と覚悟。
「私は長年ノンフィクションを書いてきたので、自分の感情よりも事実を書くことで、読み取ってもらいたい。それは、すごく大事なことだと思うんです」
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