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脂質=「食べるオイル」は、健康な体に必要! 正しい選び方ととり方を知っておこう 脂質=「食べるオイル」は、健康な体に必要! 正しい選び方ととり方を知っておこう

脂質は健康のためにとったほうがいい? どんなオイルが体にいい? 脂質の持つ役割とその種類について正しく知れば、ヘルシーかつおいしくオイルを楽しむことができます。赤坂ファミリークリニック院長・伊藤明子先生に教えていただきました。

目次
脂質=「食べるオイル」は、健康な体に必要! 正しい選び方ととり方を知っておこう
  1. 「ノンオイルがヘルシー」は本当? オイルは健康な体に必要?
  2. とはいえ、脂質のとりすぎにはもちろん注意を!
  3. 脂質は量だけでなく「質」も大切! 良質なオイルを適量とりましょう
  4. 【豆知識】「トランス脂肪酸」は体に悪いの?
  5. お話を伺った 赤坂ファミリークリニック院長・伊藤明子先生 profile

「ノンオイルがヘルシー」は本当?
オイルは健康な体に必要?

オメガ3とオメガ6のバランスが大切

「脂質は毎日に欠かせない栄養素で、不足すると肌はパサつき、脳の働きも悪くなります。一方、体によくない脂質のとりすぎは、動脈硬化など生活習慣病の原因に。よいオイルを選び、適量とる習慣にしましょう」と、伊藤先生。脂質は含まれる脂肪酸によって、体の中での役割が変わります。肉の脂(飽和脂肪酸)は体に脂肪としてたまりやすいので、なるべくとらないのが◎。植物性油脂には、大きく分けてオメガ3、オメガ6、オメガ9があり、体の中でつくれない必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6は、相反する働きを持ちバランスをとっています。そのうち、普段の食事で不足しがちなのがオメガ3。魚の油やえごまオイル、アマニオイルなどがそれにあたります。「脂質のバランスをよくするには、毎日魚を食べること。くわえて、アマニオイルなどを生で使うのがいいでしょう」

脂質は三大栄養素のひとつ
三大栄養素は、脂質・たんぱく質・糖質。脂質は、三大栄養素のひとつです。エネルギーになるだけではなく、細胞膜をつくったり、ホルモンの原料になったりと、ビタミンの吸収をサポートする役割があります。必要なオイルを適量とることがいちばんヘルシーです。

脂質をとらないと、
細胞・エネルギーがつくれない!

体内にある約37兆個の細胞の膜を作っているのが脂質であり、体をつくる大切な材料。脂質が不足すると、肌荒れや髪のパサつきの原因になります。同時に、体を動かすエネルギーも不足してしまいます。

さらに脳の機能低下、 うつや認知症の恐れも

脳を構成する成分のうち、約6割を占めるのが、実は脂質です。脂質、特にオメガ3系の油が不足すると、脳の機能が低下し、イライラや不安が起こって正常な判断ができなくなったり、うつ病や認知症の原因になります。

とはいえ、脂質のとりすぎにはもちろん注意を!

20歳以上の女性は脂質とりすぎの傾向が!

健康志向で脂質を減らす人がいる一方、実は成人女性の44%は脂質をとりすぎているというデータが。食生活の欧米化や外食、コンビニ食など脂質が多い食事が増えていることが、原因と考えられます。

脂質のとりすぎは病気の引き金にも......

糖質やたんぱく質が1gあたり4kcalなのに対し、脂質は1g 9kcal。とりすぎは、当然肥満につながり、生活習慣病の原因に。特に、肉の脂は体内でも固まりやすく、動脈硬化や心臓病につながります。


脂質は量だけでなく「質」も大切!
良質なオイルを適量とりましょう

脂質の性質は、それが含まれる脂肪酸の種類によって違います。ポイントは、必ずとらなければいけないオメガ3とオメガ6。適正な量は、1:2とも1:4ともいわれますが、圧倒的に不足しているオメガ3をどうとるかがカギになります。

脂質の種類と、とるべき質のいいオイルはどれ?

<脂質の種類 01>
常温で固体=動物性油脂は、
なるべくとらないほうがベター

バター、牛脂、ラードなど

飽和脂肪酸
常温で固体のもの。基本的には動物が体内で持っている油脂が中心。牛乳の乳脂肪分であるバターもこちら。ココナッツオイル、カカオバターのように、植物性のものも一部含まれます。飽和脂肪酸を多く含む油脂です。

なるべくとらないのがベターです。

<脂質の種類 02>
常温で液体=おもに植物性油脂は、
バランスよくとりいれて

オリーブオイル、こめ油、ごま油、なたね油、アマニオイル、 えごまオイルなど

不飽和脂肪酸
常温で液体の油脂。植物の種や胚芽、果肉などを搾って抽出したもの。魚の油や馬油など、一部動物性油脂も含まれます。不飽和脂肪酸を多く含む油脂です。

不飽和脂肪酸は、体内でつくれないオメガ3、オメガ6と、体内でつくれるオメガ9を含むものに分類される

【体内でつくれない(必須脂肪酸)】

<オメガ3>
不飽和脂肪酸の中でも、細胞膜をやわらかくするはたらきを持つ脂肪酸。えごま油やアマニ油、魚の油に多く含まれる。オメガ6と補完し合う役割ですが、食生活で不足しがち。

<オメガ6>
不飽和脂肪酸の中でも、細胞をかたくする役割を持ち、オメガ3と補完し合う。加工食品、コンビニ食などでは、オメガ6系の油が多いので、日常生活で多くとってしまいがち。

【体内でつくれる】
<オメガ9>
細胞膜の材料やエネルギーになる不飽和脂肪酸。体の中でつくることができます。オレイン酸を多く含み、酸化しにくい特性があるので、オメガ6系との置き換えにおすすめ。

【注意!】日本人の食生活の変化によりオメガ3の摂取量が減っている
どちらも体の中でつくることができないオメガ3とオメガ6。補い合う関係にあるこのふたつをバランスよくとりたいところですが、魚を食べる頻度が少なくなり、加工食品を多くとるようになった現在、オメガ6にバランスが偏りがち。意識的にバランスよくとるのがいいでしょう。

【豆知識】「トランス脂肪酸」は体に悪いの?

不飽和脂肪酸を化学処理することで固体化し、酸化しにくくした油脂がトランス脂肪酸。マーガリンやクッキーなどに多く含まれており、私たちは知らないうちに摂取しています。実はトランス脂肪酸は、心臓に蓄積され、心臓病や糖尿病のリスクを高めるので、アメリカでは全面禁止になっている食品。日本では規制がありませんが、控えたいものです。


お話を伺った
赤坂ファミリークリニック院長・伊藤明子先生 profile

小児科医、公衆衛生の専門医。大学時代から同時通訳者として活躍し、2児の出産後、医学部に入学し医師の道へ。著書に『医師がすすめる抗酸化ごま生活』(アスコム)など。

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Illustration:Kayo Yamaguchi text:Ema Tanaka web edit:Riho Abe
リンネル2023年2月号より
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