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「hal」店主 後藤由紀子さんの、帰って20分で完成する夕食作りの工夫 「hal」店主 後藤由紀子さんの、帰って20分で完成する夕食作りの工夫

hal店主の後藤由紀子さんの台所

毎日、夕飯の時間が迫る中、できるだけスムーズに、おいしいごはんを作り続けるには? これまでの経験をもとに、日々のごはん作りの形を築いてきた方々に伺いました。今回は「hal」店主 後藤由紀子さんの毎日のごはんを紹介します。

目次
「hal」店主 後藤由紀子さんの、帰って20分で完成する夕食作りの工夫
  1. 段取りは先のことまで抜かりなく、調理はおおらかに
  2. 【試行錯誤してたどり着いたごはん作りのMYルール】20分で作る段取りの極意
  3. 下準備と目分量がコツ! 20分で完成する後藤家のおかず4品
  4. 【段取りをよくする工夫いろいろ】
  5. 【ずっと続けたいひと手間】食材は余すことなく使い切る
  6. 【後藤さんに聞くごはん作りQ&A】
  7. 教えていただいたのは……後藤由紀子さん

段取りは先のことまで抜かりなく、
調理はおおらかに

今年で主婦歴24年の後藤由紀子さん。毎日のごはんに加え、ご主人のお弁当、高校時代は子どもたちのお弁当も作り続けてきました。待ったなしの日々のごはん作りは、段取りに尽きると言います。

「心配性だから、スムーズにいくように、あれこれ準備しないと安心できなくて」。一週間分の献立を考え、買うべきものを把握し、買った野菜や肉、魚は、新鮮なうちに仕分けや下ごしらえを。朝には、夜の仕込みをさっと。その小さな先回りの積み重ねがあってこそ、帰宅後、家族を待たせることなく食卓を整えられるのです。

一方、調理は勘を働かせ、おおらかに行うのが後藤さん流。たとえば、味付けは目分量。
「何品も作るには、これが現実的。味見はしますが、多少のばらつきも家庭の味の範囲内かなって(笑)」

学生時代は部活のマネージャーで、人が喜ぶことを先回りして考えることが好きだった、という後藤さん。「自分のことはわからないのに、家族が食べたいものは、わかるんですよ」。おいしいもので家族のお腹をいっぱいにしてあげたい気持ちこそ、ごはん作りの原動力なのかもしれません。


【試行錯誤してたどり着いたごはん作りのMYルール】
20分で作る段取りの極意

●RULE01
事前の準備を大切にして

段取りよく進める工夫をする

 

買い物や料理ついでの下ごしらえ、洗い物など、ごはん作りをスムーズに行うための段取りを常に考える。

 

●RULE02

いろいろなメニューに使い回して

食材は新鮮なうちに食べ切る

 

大ぶり野菜は、部分ごとに下ごしらえし、さまざまな料理に活かす工夫をすれば、新鮮なうちに使い切れる。

 

●RULE03

調味料の分量ははからずに

自分の目と舌を信じて味付けを

 

はかる暇も惜しいので、味見をして調えれば、調味は目分量でよし。何度も作るうちに感覚でできるように。


下準備と目分量がコツ!
20分で完成する後藤家のある日のおかず4品

夕方帰宅して、パッと4品を食卓へ。 その秘訣は、朝に行う下ごしらえと夜の仕上げの2段階で、段取りよく作ることにありました。

(写真左上から時計回りに)A.ほうれん草と春菊のナムル、B. かぼちゃサラダ、C.白菜の漬物、D.あじの煮付け

朝にA, B, C を仕込む

●A. ナムルを仕込む

ほうれん草、春菊各半束をゆで、食べやすい大きさに切り、ごま油ひと回し、塩ひとつまみ、すりごま適量で和える。

●B. かぼちゃサラダを仕込む

かぼちゃ1/2個は種を除いて大きく切り分け、Aのゆで汁が入った鍋に重ねたせいろで蒸す。やわらかくなったら皮を除いてつぶし、酢、塩、こしょう各適量を混ぜる。

●C.白菜の漬物を仕込む
食べやすく切った白菜を塩適量でもみ、輪切り赤唐辛子、昆布を混ぜ、漬ける。

夜にA~Cを仕上げ、Dを作る

●D. あじの煮付けを作る

あじのえらやぜいご、内臓をとる。鍋に酒3回し、しょうゆ、みりん各ひと回し、砂糖大きいスプーン山盛り3さじを入れて煮立たせる。食べやすく切った豆腐、ごぼう各適量とあじを入れ、強めの中火で10分ほど煮て、青梗菜適量を入れてさっと火を通す。

●D. を煮ている間にB. を仕上げる

Bは、塩もみして水気を切った輪切りのきゅうり、刻みナッツ、チーズ、こしょう、マヨネーズ各適量を、朝仕込んでおいたかぼちゃと混ぜる。

● 最後にA, Cを仕上げる

Aは、朝仕込んだものに、ちぎった韓国のりを加えて混ぜ、すりごまをかける。Cは、そのまま器に盛る。


【段取りをよくする工夫いろいろ】

1.基本調味料を目分量で使う
ひとつまみ、ひと回しなどが、後藤さん流の調味の単位。ハーブなどはあまり使わず、基本の調味料で。銘柄には特にこだわらない主義。
2.箸の種類をそろえる
箸は、家族にも準備や片付けがしやすいよう、公長齋小菅の八角箸に統一。有次の盛り付け箸も多めに用意し、調理中に洗う手間ナシ。
3.週の予定を4分割メモに書く
週末に、A4用紙を4分割して、次週分の予定、服装、献立、食材購入リストをまとめる。持ち歩きやすく、忘れ物防止にも一役買う。

【ずっと続けたいひと手間】
食材は余すことなく使い切る

「上手に使い切るとガッツポーズしたくなります」と後藤さん。白菜は部位で仕分けをすると使い切りやすい。外葉はロール白菜やほたて缶のうまみが染みるミルク煮に、内葉はりんご、ゴルゴンゾーラチーズ、くるみを合わせたサラダや豚キムチに、芯は漬物に。

たとえば大きな白菜1個があれば……
●1/2個を鍋に

●外葉で2品

ロール白菜
白菜スープ

●内葉・芯で3品

サラダ
漬物
豚キムチ

【後藤さんに聞くごはん作りQ&A】

Q1.
新米主婦のときに苦労したことは?

A.
結婚後、慣れない2児の子育てに追われ、ごはん作りも手探りだったので、一日中台所にいるような感じでした。そこから段取り方が身についていった気がします。

Q2.
普段、食材はどこで買いますか?

A.
旬の野菜や果物は、近くの産直店で。新鮮で、量が多いのが特徴。そのほかの野菜と、肉や魚、豆腐などは、近所のごく普通のスーパーで買っています。

Q3.
作り置きはよくしますか?

A.
ごはん作りのついでに、蒸す、ゆでるなどの作り置きはしますが、最近はしない日が増えました。子どもが食べ盛りだった頃は、置いておく暇がないほどフル活用でしたが。

Q4.
料理の練習はしましたか?

A.
料理本を買うと、一度は全レシピ作ります。重信初江さんの『昔ながらのおかず100』、たくまたまえさんの『たまちゃんの夫弁当』が日常の料理に役立ちました。

Q5.
常備しておくといい食材は?

A.
缶詰や乾物をストックしておくと、何も食材がない日の料理の主役にも。ほたて缶やキムチなど、味が決まりやすい素材は、サッと料理したいときに便利です。


教えていただいたのは……後藤由紀子さん

PROFILE
静岡・沼津で雑貨店「hal」を営む。夫と大学生の長男、長女との4人暮らし。等身大の暮らしぶりやファッションが人気で、著書多数。近著に『おとな時間を重ねる』(扶桑社)。


photo:Takako Hirose text:Kaori Akiyama web edit:Masako Serizawa
※写真・文章の無断転載はご遠慮ください
リンネル2019年3月号より

※レシピの分量はすべて各家庭の作りやすい量です。

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