CULTURE
:パンクな精神が原動力 【hal 後藤由紀子さんの「雑貨と私」の話 vol.1】
CULTURE
:
今年で20周年を迎えた、沼津の人気雑貨店「hal」。店主の後藤由紀子さんの、20冊目となる著書『雑貨と私』(ミルブックス)が発売になりました。幼少期から現在に至るまでの歩みを振り返り、丁寧に綴られた文章から、後藤さんの素顔が垣間見られます。本書の中からその一部を3回にわたってご紹介。さらに、後藤さんのご自宅でたっぷりお話を伺いました。
パンクな精神が原動力 【hal 後藤由紀子さんの「雑貨と私」の話 vol.1】
後藤由紀子
静岡県沼津市生まれ。東京の雑貨屋で勤務後、2003年に地元の沼津市で器や衣類、書籍を扱う雑貨屋・hal(ハル)を開店。『雑貨と私』を含め、これまでに20冊の書籍を上梓。
Instagram:@gotoyukikodesu
Voicy:ささやき女将のごきげんRadio
自分流のやり方を貫いて

勢いで店をやることを決めたが、母が猛反対してくれたことで抑制がきいて、 最小限の出費で始めることができた。前向きではあるけれど、いつでも辞める覚悟もあり、パートタイムで働くような心持ちだった。軌道に乗り始めた頃から少しずつ照明などの設備を増やしていったが、開店時に手に入れた什器を未だ大切に使っている。
内装や什器を簡素にしたからこそ、雑貨たちが持っている魅力が一層引き立つ。意図してそうしたわけではなかったので、数年かかってようやくそれに気がついた。これを使ってほしい、身につけてほしいと真剣に選んだものたちが主役である。

後藤さんの宝物であるレコードは、かごに入れて収納。なんと500枚ほど持っているそう。
若い頃からパンクロックが大好きで、今でもよく聴いている。いつか音楽好きの友人に「私はパンク上がりだから」と話すと、真剣な顔でこう言われた。
「パンクは心の持ちようだから、上がっちゃいけない。あなたは今でもパンクだよ」
自分自身でやることが、パンク精神の芯になるところ。下手でも拙くても、やってみること。周りに流されず、こうだと決めた道を信じて歩んでいくことが大事。東京で出会った仲間たちから学んだパンク精神が、雑貨屋を始める時の原動力になった。そして今も変わらず、店を続けていく上でこの気持ちを大切にしている。
\後藤さんのこぼれ話/ずっと好きなもの

後藤さんのご自宅の本棚には、『オリーブ』が大切に並べられています。
朝、景気づけたいときは、パンクロックバンドのThe Clash(ザ・クラッシュ)の音楽を聴くという後藤さん。音楽もクラブカルチャーも、中学生のときに出合った『オリーブ』を読んで知ったそう。
「オリーブには好きなものが詰まっていました。音楽もずっと大好きです。パンクだけでなく、ソウルもジャズもヒップホップも、幅広く聴きます。この本でも当時出会った友人の一人、チャーべくん(松田岳二さん)と対談していますが、チャーべくんなどDJをやっている人がミックステープを送ってくれて、素晴らしい音楽をたくさん教えてもらいました。DJでもないのにレコードをたくさん持っていて、一人の時間を楽しむときによく聴いています。ライブなどの予定は仕事を頑張る原動力になっています。何を着て行こうかな、と毎回ウキウキします」
photograph:Miho Kakuta text & edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※本記事は『雑貨と私』(ミルブックス)からの抜粋にインタビューを加筆しています
おすすめ記事 RELATED ARTICLES
Recommend
SNAPRanking
DAILY
/
WEEKLY
季節のおすすめSEASON TOPICS
暮らしのいいこと大集合!Special Feature



































