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:小原 晩さん「普段本は読まなくても、言葉を大事にしている人に届けたい」/新刊『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』が発売
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作家・小原 晩さんのエッセイ集が発売されました。実家を出て、東京で生活を始めたばかりの日々が綴られています。あなたも経験した“あの頃”の気持ちに共感できるかも。
冬のおうち時間のおともにぜひ手に取ってみてくださいね。
普段本は読まなくても、言葉を大事にしている人に届けたい
「最初に作ったのは200部で。そこから書くこと、本を作ることをコツコツやろう。1年ぐらいかけて、1000部売れたらいいなと思って始めたんですけど、最初の1か月ぐらいで1000部を超えて。こんなに買ってもらえるんだって」
今も信じられない、という表情で訥々と語るのは、小原 晩さん。2022年に自費出版で作った小さなエッセイ集『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』が、異例の1万部を突破。そしてこのたび新たに17篇を加え、商業出版として上梓されることになりました。
「だからここまで来たのは、自分の力というよりも本屋さん、多くは独立系書店の方が、名前もなく、まだ何の関係性もない私の本を『おもしろいから』って置いて紹介くださったのが、少しずつ積み重なっていった結果なので。みんなのおかげ、という気持ちがすごく強いですね」
描かれているのは、実家を出て、東京のまんなかで生活を始めたばかりの頃のこと。ともすれば、あなたも経験しているかもしれない「あの頃」の気持ち。
「門限も厳しかった家から離れて、自分ひとりで何をしてもいい、夜歩いてても誰にも怒られない、そんな状況と東京という街が、私の中ではすごくリンクしてる部分があって」
自由はあるけれど、お金はない。夢はあるけれど、なんとなく定まらない。そんなエピソードの数々を「キラキラ」ととるか「ギリギリ」ととるかは、読む人に委ねたい、と言います。
「たとえば東京で暮らしたことのある人なら、知ってる街の名前が出てくるので楽しめると思いますし、特に若い頃、学生が終わって社会人1〜2年目ぐらいの頃を懐かしんでもらうのもいいし、読者の好きなように読んでもらえればと思います」
ただ、ひとつ。
「普段本を読まない人も、(この本なら)たぶん読めると思うんです。自分も最初は『本は頭の良い人が読むもの』って思ってたので。だけど言葉を大事にしてる人って、世の中にたくさんいると思うんです。たとえば本は読まなくても、SNSで名言のようなものが流行っていたり、音楽が好きだと思ってるけど、実は歌詞に対して何かを感じていたり。そういう人にも届けられるような活動をしたい。私自身、本に出会えてほんとうによかったと思っているので」
新著『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』
お話を伺ったのは……小原 晩さん
おばら・ばん/1996年、東京生まれ。2022年、自費出版(私家版)にて『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』を刊行。2023年に『これが生活なのかしらん』(大和書房)を刊行。好きなものは、風、湯船、散歩、ひらけた景色、お笑い、太陽の塔、食べたり飲んだり。
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photograph & text:BOOKLUCK
リンネル2025年2月号より
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