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子どもは褒めすぎず、子ども扱いしない 【桒原さやかさんが見つけた、北欧の暮らしのヒント vol.2】 子どもは褒めすぎず、子ども扱いしない 【桒原さやかさんが見つけた、北欧の暮らしのヒント vol.2】

スウェーデン人の夫やノルウェーで暮らした経験から学んだ、北欧の暮らしのアイデアを発信、実践している、ライターでエッセイストの桒原(くわばら)さやかさん。デンマークに暮らす3家族の暮らしや子育てを綴ったエッセイ『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)から、その一部を2回にわたって紹介します。2回目は、北欧の子育てのお話です。

桒原さやか

 

ライター・エッセイスト。「イケア」勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして6年働く。スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイストさんといっしょにノルウェー・トロムソに移住。1年半の滞在後、帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。「北欧、暮らしの道具店」で連載『暮らしのみずうみー松本便り』を執筆中。
Instagram@kuwabarasayaka

親がするのは、気持ちを言葉にするお手伝いだけ

子どもたちと本を読むリーネさん。

北欧の親たちと話をしていると、「気持ちを言葉にすること」が子育ての中心にあるように感じます。夫も子どものころ、「あなたはどうしたいの?」 とよく親から聞かれていたのだとか。自分の考えを言葉にするまで、両親は辛抱強く待っていてくれたと言います。また、フィンランドの家庭でも学校でもよく聞かれるのは、「Miksi?(ミクシ?)」。「なぜ?あなたはなんでそう思うの?」 という感じで使われるのだとか。

子どもだって自分の考えを持っている。北欧では、子どもも「ひとりの個人」として捉えられていて、大人たちは子ども扱いしないように意識しています。そして、親は子どもが気持ちを表現するのを「助ける」役割。教えるというよりも、選択肢を用意したり、子どもの気持ちに耳を傾けるのが大事だと考えられているようです。北欧の会社は上下関係がなく、「フラット」だとよくいわれるのですが、それは親と子でも同じなのかもしれません。

そういえば、子育ての話をしていたとき、スティナさんがこんなことを言っていました。「子どもたちは親に褒められたいから、親が褒めるだろうことをするでしょ?だから、わたしは褒めすぎないようにしているの」

ドキッとする言葉です。それでは、子どもたちが絵を描いたときに、具体的にどう接しているのか聞いてみました。スティナさんは褒める代わりに、こんなことを言うのだとか。

「これを描こうと思ったのはどうして?」
「どうしてこの色を選んだの?」
「ここに描いてあるのは何?」

ただ褒めるのではなく、子どもたちが持っているイマジネーションが広がるような声がけをするようにしているのだとか。「親の意見を子どもに押しつけたくないの。小さなことだけれど、意識しているとしていないとでは、全然ちがうと思う」 とスティナさん。

子どもの意見に耳を傾ける

スティナさんの娘、パヤちゃんの好きが詰まったデスクとおもちゃ箱。

親の意見を押しつけない。

これも北欧の子育てではあらゆる場面で大事にされているのを感じます。男の子がピンクを好きでもいいし、プリンセスを好きでもいい。

あなたは何が好きなの? 何を感じているの? と耳を傾けることを大切に考えているのです。頭ではわかっていても、なかなか行動で示すのはむずかしいのですが、親が勝手に決めてしまっていることはないか、ときどき立ち止まって考えてみることが大事なのかなと思います。

北欧の子育てを聞いていると、親が子どもに何かしてあげるというよりも、子どもが持っているものを信じよう、そのままの自然体でいいんだよと教えられているように感じます。

わたしもまっさらな目で、子どもたちのキラキラした世界をいっしょに眺めていきたいです。


書籍情報

「北欧の日常、自分の暮らし」-書影
『北欧の日常、自分の暮らし』
居心地のいい場所は自分でつくる――
スウェーデン人の夫と2人の子ども、家族4人で長野県松本市に暮らす桒原さやかさんが、北欧のひとたちから学び、実践していることを紹介。
北欧で小さい子どもの子育てをしている3家族に教えてもらった暮らしのエッセンスは、ヒントとなる知恵が満載です。
ワニブックス

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photograph:Maya Matsuura edit:Mayumi Akagi 

※写真・文章の無断転載はご遠慮ください
※本記事は『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)より一部抜粋して構成しました

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