かつては料理がまったくできなかった自分だからこそ、初心者に寄り添いたいーー。そんな気持ちが込められたのが、料理家&食育インストラクター、和田明日香さんの新刊『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』。クスッと笑えるネーミングの料理とともに、その料理の背景が分かるエピソードも綴られています。
こだわったのはプロセスの書き方
初心者でも失敗なく料理が楽しめるように
2年前に刊行してベストセラーとなった、『10年かかって地味ごはん。』の待望の続編。料理が不得意な人でも失敗なく作れるように……と特にこだわったのが、プロセスの書き方。
「レシピは簡潔さが重視されがちですが、この本ではとにかく丁寧に下ごしらえや調理のポイントを説明しました。『じゃがいもの皮をむいて芽を取り〜』とコロッケの作り方を書いていたときも、そういえば自分が初心者の頃は、どこまでが芽で、どうやって取ればいいのかさえも分からなかったな……と思い出して。ピーラーに付いた突起を初めて使ったときは、アイスをすくうみたいで楽しい〜!と思ったんですよね(笑)。そのときの気持ちを振り返りながら、今回の本にも書き加えました。不要な情報かもしれないけど、私というフィルターを通すことで、料理を楽しんでもらえたらうれしいです」
「あんかけとけばなんとかなる大根」「地味すぎるけど好きもやし」など、ネーミングも和田さんらしいユニークなものばかり。
「どれも実際に作っている料理で、すべてにエピソードがあるんですよね。にんじんしりしりなら、“しりしり”ってかわいいな〜と思いながら作ってるから『かわいいしりしり』。勢いと直感で決めています(笑)」
手間をかけるところ、省くところ
メリハリをつけて自分のこだわりを持つ
メディアではスピーディーで手際よく調理することが多い和田さんですが、「だしはきちんと取る」など、手間をかけるところと、省くところのメリハリをつけているのも印象的。
「手間をかけるのは、自分がやっていて楽しい作業。だから、単なる自己満足なんです。でも、だしをしっかり取ればそれだけで味が決まるから、結局はラクなんですよね。そうやって自分なりのこだわりをもつことも、料理を楽しむ秘訣。時短レシピのようなものを求めていた人をがっかりさせちゃうかもしれないけど、自分が大切にしてきたことも、この本ではきちんと伝えていきたかったんです」
地味ごはんというタイトルどおり、レシピはいずれも、日常的に作っている「代わりばえしないごはん」。
「続編だからといって新しい内容が入っているわけじゃないけど、おうちのごはんはそうそう変わらない。いつものごはんでほっとして、みんなが元気に仕事や学校に行ってくれれば、それで充分だと思うんです」
新著『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』
和田明日香/¥1,496(主婦の友社)
23万部を超えるベストセラーとなり、2022年の料理・レシピ本大賞にも選ばれた『10年かかって地味ごはん。』の第2弾。茶色くて地味だけどみんなに愛される、名もなきおかずが再び登場します。自身のエピソードを交えて書かれた、分かりやすくユニークな調理のポイントはまるでエッセイを読んでいるかのようで、和田さんの人柄が伝わってきます。
お話を伺ったのは……和田明日香さん
PROFILE
わだ・あすか/料理家、食育インストラクター。3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修行を重ねて食育インストラクターの資格を取得。各メディアでオリジナルのレシピを紹介する。2021年からは初の冠料理番組、『和田明日香のア・レシピ』(RKB毎日放送)もスタート。
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photograph:Chihaya Kaminokawa styling:Raishiro Yokoyama(Yolken) hair & make:Yukino Tomizawa(+chip) text:Hanae Kudo web edit:Mina Ota
リンネル2023年4月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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