病気を予防し、体の調子を整えるのに欠かせない野菜の力。野菜のもつ栄養と、効率よく吸収する方法を知って、暑さに負けない体づくりを始めましょう。管理栄養士の森由香子先生に、野菜についての基礎知識を教えていただきました。
教えてもらった
管理栄養士・森由香子先生 profile
健康パワーアップのための野菜ライフ
食材の価格が高い今だから野菜の栄養を余さずとりたい
食品価格が高騰し、うっかりすると野菜が少ない食生活になってしまいがちなこの頃。「免疫力を高め、生活習慣病を避けるには野菜不足はNG。ビタミンCなどは体の中でためておくことができないので、3食それぞれ野菜メニューがあるのが理想です」と、森先生。
毎食のこととなれば、栄養を吸収するためのコスパが気になります。そのために大事なのが、野菜の旬を知ることです。
「旬の野菜は価格が安いうえに、その他の時期に比べて栄養価も高いことがわかっています。体に必要な栄養をとる近道です」。さらに、栄養素にはそれぞれ吸収しやすい食べ方があります。ビタミンはそれぞれ水や油に溶けやすいものがあるので、素材に合わせた調理法を。ヨーグルトと一緒に野菜をとるとカロテノイドが吸収されやすいというデータもあります。野菜の栄養を味方につけて、体調を整えましょう。
野菜についての7つの基礎知識
01_
燃料費などの高騰によって、野菜の価格も高騰
野菜の価格に大きく影響する天候。台風や日照不足で不作になると出荷できる野菜が減ってしまいます。さらに問題なのが燃料費の高騰。野菜の輸送費が上がるほか、光熱費の上昇もいずれは価格に反映されます。
また、日本では加工野菜もふくめて輸入野菜が多く、円安の影響も直撃しています。今後の価格は天候次第ですが、栄養吸収が高まる食べ方・選び方を意識したいですね。
02_
野菜の栄養は食べた分だけ吸収されるわけではない
「野菜を食べれば栄養はとれると思いがちですが、食べ方によって吸収される割合は変わります」。野菜には固い細胞壁があり、それが栄養の吸収を阻害。加熱したり、細かく刻んだりすることで、細胞壁が壊されて吸収しやすくなるのです。
ただし、熱によってビタミンは壊れませんが、ビタミンCなど水溶性のビタミンは水に栄養素が溶けだすので、ゆで汁は捨てない調理がいいでしょう。
03_
野菜不足は体調にも悪影響
病気に負けない体になるには、免疫力のバランスが大切。そのカギを握るのが野菜。野菜には、抗酸化力があり、全身の免疫力に関わる腸内環境にも食物繊維が欠かせないからです。
食物繊維が少ないと便の量が少なくなったり、便が出にくくなります。食物繊維は野菜のほか、豆類、穀類にも豊富。
肌に欠かせないコラーゲンを生成し、活性酸素をとりのぞくために欠かせないビタミンC。野菜不足は肌荒れのもと。
血管を傷つける活性酸素を抑えるには、β-カロテン、ビタミンC、Eなどのビタミンやカロテノイドが欠かせません。
04_
野菜の旬ってなに?
一年中、同じ野菜がスーパーで買える時代だけれど……。「旬の野菜はほかの時期のものよりも栄養価が高いことがわかっています。価格も安くなるので、旬を知ると買い物も上手にできます」。旬の野菜はうまみもたっぷり詰まっているので、手間をかけずともおいしく食べられます。
05_
1日に必要な野菜の量
1日に必要な野菜の量は350g以上といわれています。3食に分けると約120gずつ、生野菜なら両手にいっぱい、火を通した状態なら片手にいっぱい分と覚えておけばOK。「野菜不足が気になる人は、コンビニのカップ野菜でもいいので、食事に添える習慣をつけましょう」
06_
若さを保つ成分「カロテノイド」は野菜や果物から
カロテノイドは、動植物に存在する赤色や黄色の天然色素の総称で、β-カロテンや、リコピンなどが含まれます。植物が紫外線から体を守るために生成している抗酸化物質なので、人間の体内でも抗酸化効果を発揮し、細胞を守るはたらきがあります。
●β-カロテン
ニンジンやホウレン草、カボチャに含まれる。抗酸化力のほか、体内ではビタミンAに変わり、目の健康などを守ります。
●リコピン
主にトマトに含まれる、赤やオレンジ色の色素。抗酸化力が高く、油に溶けやすいので、油と一緒にとると吸収されやすい。
●ルテイン
緑黄色野菜に含まれる、黄色のカロテノイド。目の水晶体などで抗酸化力を発揮し、目の健康を維持するのに役立ちます。
07_
ビタミンだけじゃない。体の調子を整えるミネラルも野菜から
体の調子を整えるのに欠かせないミネラルは、体内で生成できません。野菜はビタミンだけではなく、ミネラルも豊富。体内の水分量を調整して血圧を正常に保つカリウム、骨や歯の材料となるカルシウム、赤血球に必要な鉄なども野菜から摂取できます。
こちらもチェック!
photograph:Yumi Furuya illustration:Mariko Fukuoka text:Ema Tanaka web edit:Riho Abe
リンネル2023年6月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Related Article おすすめ記事
-
管理栄養士が教える、野菜の栄養を逃さずかしこくとる方法4つ 管理栄養士が教える、野菜の栄養を逃さずかしこくとる方法4つ
-
気と血、足りてる? 現代女性の不調を改善する「気血ごはん」 気と血、足りてる? 現代女性の不調を改善する「気血ごはん」
-
食べ物で鉄不足を改善! 鉄分を補う食事のコツ【鉄欠乏女子ケアガイド】 食べ物で鉄不足を改善! 鉄分を補う食事のコツ【鉄欠乏女子ケアガイド】
-
イライラや疲れ…不調をきたす“鉄欠乏”とは? 体調チェックしてみる【鉄欠乏女子ケアガイド】 イライラや疲れ…不調をきたす“鉄欠乏”とは? 体調チェックしてみる【鉄欠乏女子ケアガイド】
-
あっさり味がうれしい、レタスとひき肉のスープ【レシピ・有賀 薫さん】 あっさり味がうれしい、レタスとひき肉のスープ【レシピ・有賀 薫さん】
-
野菜不足を解消! キャベツの千切りとしらすぼしのだしかけスープ【レシピ・有賀 薫さん】 野菜不足を解消! キャベツの千切りとしらすぼしのだしかけスープ【レシピ・有賀 薫さん】
-
ごまの香りがふんわり。小松菜と鶏ささみの味噌汁【レシピ・有賀 薫さん】 ごまの香りがふんわり。小松菜と鶏ささみの味噌汁【レシピ・有賀 薫さん】
-
自然なとろみでほかほかに。たたきオクラとツナの和風スープ【レシピ・有賀 薫さん】 自然なとろみでほかほかに。たたきオクラとツナの和風スープ【レシピ・有賀 薫さん】
-
トマトでスープ感覚に。パンにも合うミニトマ豚汁【レシピ・有賀 薫さん】 トマトでスープ感覚に。パンにも合うミニトマ豚汁【レシピ・有賀 薫さん】
-
レンジでチンするだけ!豆苗と豆乳のスープ【レシピ・有賀 薫さん】 レンジでチンするだけ!豆苗と豆乳のスープ【レシピ・有賀 薫さん】
-
香ばしい風味がたまらない! たけのこの炭火焼き 【レシピ・今井真実さん】 香ばしい風味がたまらない! たけのこの炭火焼き 【レシピ・今井真実さん】
-
素材のおいしさをそのまま楽しむ! アスパラ炭焼き 【レシピ・今井真実さん】 素材のおいしさをそのまま楽しむ! アスパラ炭焼き 【レシピ・今井真実さん】
-
最高の組み合わせ! ほっくり幸せ味わう焼きいもマスカルポーネ 【レシピ・今井真実さん】 最高の組み合わせ! ほっくり幸せ味わう焼きいもマスカルポーネ 【レシピ・今井真実さん】
-
鉄分たっぷり! テケジョ脱出お助けレシピ3選【鉄欠乏女子ケアガイド】 鉄分たっぷり! テケジョ脱出お助けレシピ3選【鉄欠乏女子ケアガイド】
-
+レモンで亜鉛や鉄分の吸収がアップ! 砂肝の和えもの【レシピ・真藤舞衣子さん】 +レモンで亜鉛や鉄分の吸収がアップ! 砂肝の和えもの【レシピ・真藤舞衣子さん】
Latest News
HEALTH
-
[PR]「温め」で不調を乗り切る! 【はまじさんと考える】フェムケア温活のススメ 「温め」で不調を乗り切る! 【はまじさんと考える】フェムケア温活のススメ
-
【40~50代の更年期症状を和らげる6つの習慣】今すぐ取り入れたいセルフケアと、更年期世代におすすめのインナーケアアイテム 【40~50代の更年期症状を和らげる6つの習慣】今すぐ取り入れたいセルフケアと、更年期世代におすすめのインナーケアアイテム
-
【更年期対策】 30代後半~50代までの月経や体の変化をチェックして、更年期を迎える前に心づもりを。 【更年期対策】 30代後半~50代までの月経や体の変化をチェックして、更年期を迎える前に心づもりを。
リンネル最新号&付録
2025年1月号
暮らしの道具大賞2024
- 付録
- marble SUD[マーブルシュッド]
ボアバッグ&
リング付きちょうちょ柄丸ポーチ
特別価格:1,520円(税込) / 表紙:上白石萌音 /
2024年11月20日(水)発売 ※一部の地域では発売日が異なります