少しずつ積み重ねていくことで、体も心も健やかになれるだけでなく自分を好きになれるのが漢方養生。漢方養生とは春夏秋冬、朝昼晩、自然に沿った暮らしをすること。山梨県で鍼灸院を営む夫婦のユニット、moxies（モクシーズ）さんに教えてもらいました。毎日更新しますので、琴線に触れるものがあれば実践をしてみてくださいね。

7月18日
上医の解釈

昨日、未病の状態を治すことが上医（最も優れた医師）であるというお話をしましたが、
今日は、もう一つ別の解釈で上医とは何か、というお話をさせていただきます。

５世紀の中国の医学書『小品方（しょうひんほう）』は、日本初の法律である大宝律令（たいほうりつりょう）の中でも、指定の医学の教科書だった本です。その中には、こんな一節があります。

「上医は国を治し、中医は民を治し、下医は病を治す」

文字通りの解釈もできますが、
患者さんの病気をみて改善するのが下医、
患者さん個人の家庭環境や仕事環境などをみて改善するのが中医、
社会全体のシステムから病気を改善するのが、最も優れた医師である上医である、という考え方もあります。

現在、多くの病気の原因がストレスだと言われます。
ストレスで交感神経が興奮すると、血管が収縮しすぎたり、免疫細胞の働きが変調してしまうからです。

「ストレスを発散しましょうね」と私たちも患者さんに言いますが、個人レベルでは解消するのが難しいと感じる、社会のシステムから生じるストレスもあります。

国を治す医師が、上医。
現代においても古典から学ぶことがたくさんあります。

今日もよい一日をおすごしください。

＞＞ 【漢方養生で毎日上々！】の連載記事一覧はこちら

illustration & text：moxies
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください