スウェーデン人の夫やノルウェーで暮らした経験から学んだ、北欧の暮らしのアイデアを発信、実践している、ライターでエッセイストの桒原(くわばら)さやかさん。デンマークに暮らす3家族の暮らしや子育てを綴ったエッセイ『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)から、その一部を2回にわたって紹介します。1回目は、意外と知らない北欧の家庭料理のお話です。
桒原さやか
ライター・エッセイスト。「イケア」勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして6年働く。スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイストさんといっしょにノルウェー・トロムソに移住。1年半の滞在後、帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。「北欧、暮らしの道具店」で連載『暮らしのみずうみー松本便り』を執筆中。
Instagram@kuwabarasayaka
冷凍食品のお気楽ごはんが定番
スウェーデンのスーパーに行ったときのこと。夫が興奮した声で「わぁ、なつかしい〜!」と手に取ったのはGORBYS Pirog(ゴルビスピローグ)という冷凍食品。ミートソースをパン生地で包んだもので、子どものころ、家の冷凍庫に必ず入っていたものなのだとか。
北欧と聞くと、なんとなくナチュラルなものを食べているイメージがある方も多いかもしれませんが、実は冷凍食品が家庭の食卓をかなり助けてくれています。
そのひとつが、FISKPINNAR(フィスクピンナル)という冷凍白身魚のフライ。フライパンで焼いて、その横にゆでたポテトをのせたら、スウェーデン定番の夕食のでき上がり。とてもお手軽なのです。
また、ノルウェーで食卓の定番といえば、冷凍ピザ。GRANDIOSA(グランディオーサ)のピザが人気で、「国民食は冷凍ピザ」と言うひともいるくらい、ノルウェーの食卓には欠かせない存在です。
料理がお気楽なのは、冷凍食品だけではありません。スウェーデン料理と聞いたら、ミートボールが浮かぶ方も多いでしょうか。お肉をこねて、丸めて、焼いている姿が思い浮かぶのですが、実際はスウェーデンの家庭でよく食べられるのはスーパーで売っているでき合いのミートボール。その名も、ママのミートボールという意味のMamma Scans Köttbullar(マンマスコンショットブラー)。フライパンで温めるだけででき上がります。夫も子どものころからずっと食べているなつかしい味なのだとか。
北欧では物価が高いので、3食自炊が基本。共働きの家庭も多く、平日はどうしたってバタバタと忙しいので、「料理はつくれているだけでよし!」と考えているひとが多いようです。
毎日の食事をご機嫌につくるコツ
料理は簡単なものでいい。無理をしなくていい。
今ではわたしも心からそう思うようになりました。子どもが生まれて忙しくなってからは、頭で呪文のように唱えています。
褒められたことじゃありませんが、みそ汁とごはんと買ってきたお惣菜だけの日があったり、テイクアウトのピザですませたり。同じメニューばかり食卓に並ぶなんていう日もよくあります。それでも、夫は何も文句を言いませんし、子どももパクパク食べてくれます。
ところが、「これでいい」と思いながらも、そんな生活を続けているうちに、料理をすること自体楽しくなくなってしまったのです。 しばらく料理スランプが続いていたある日のこと。本屋さんで、あるレシピ本に目がとまりました。あ、この料理つくってみたいかも......。自然とそう思えたら、 料理が楽しいという気持ちがむくむくと戻ってきたのです。あたりまえでしょうと言われてしまいそうですが、気を抜きすぎるのもよくなく、何ごとにもバランスが必要なんだと気づかされたできごとでした。
ちなみに、ここまで北欧の料理のお気楽さを書いてきましたが、休みの日にはベイキングをしたり、時間のかかる煮込み料理に挑戦したりするのも、北欧のひとたちの定番の休日の過ごし方。夫婦そろって食べることが好きだというペルニッレさんも、土日は生地からこねてパンを焼くのが楽しみなのだとか。
料理は毎日のことだから、「無理をしないこと」と「楽しむこと」の両方が必要なんだなと思います。3食自炊が基本な北欧のひとたちは、料理をご機嫌に続けるコツをよく知っているようです。
書籍情報
スウェーデン人の夫と2人の子ども、家族4人で長野県松本市に暮らす桒原さやかさんが、北欧のひとたちから学び、実践していることを紹介。
北欧で小さい子どもの子育てをしている3家族に教えてもらった暮らしのエッセンスは、ヒントとなる知恵が満載です。
こちらもチェック!
photograph:Maya Matsuura edit:Mayumi Akagi
※写真・文章の無断転載はご遠慮ください
※本記事は『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)より一部抜粋して構成しました
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