北欧

文筆家・萩原健太郎さんに聞いた、北欧各国のデザインの魅力 文筆家・萩原健太郎さんに聞いた、北欧各国のデザインの魅力

【スウェーデン・ノルウェー編】
日用品をより美しく

1919年、スウェーデンの美術史家のグレゴール・パウルソンは、『日用品をより美しく』というエッセイをまとめましたが、この言葉は、今日に至るまでスウェーデンデザインのスローガンとなっているように思います。スウェーデンを代表する陶磁器ブランドにグスタフスベリがありますが、同社で活躍したのが、スティグ・リンドベリです。デザイナーとして、スウェーデン語で“葉”を意味する「ベルサ」などのテーブルウェアを手がけたほか、絵本『ちゃっかりクラケールのおたんじょうび』の挿絵、「楽園」をはじめとするテキスタイル、西武百貨店の包装紙を手がけるなど、マルチに才能を発揮しました。

ちなみに、アウトドアブランドのフェールラーベンの「カンケンバッグ」や、オレフォスやコスタボダなどのガラス器、ブリオやプレイサムなどの木製玩具などの日用品もスウェーデンデザインです。

ノルウェーについては、他の北欧諸国が外貨を稼ぐために、輸出品としてもデザインプロダクトを重視したのに対して、1960 年代に北海油田が発見され、オイルマネーを手に入れたことから、その必要性があまり感じられませんでした。そのため、デザイン後進国と呼ばれたりもしますが、赤ちゃんから大人まで使える椅子「トリップトラップ」(1972年/ストッケ)や、正しい姿勢を維持できる動的な椅子「バランスチェア(」1979 年/ヴァリエール)などが生まれています。21世紀に入ってからは、オスロの都心部のウォーターフロントに、「オスロ・オペラハウス」(2008年)やムンク美術館(2021年)が完成するなど、デザインに力を入れ始めたように感じます。

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